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FORTiS-N™ エンコーダで加工精度が向上

Anderson Europe GmbH (Anderson 社) は、60 年以上にわたって高精度 CNC 機械を製造してきた。同社は、ドイツが 1950 年代後半に PCB を増産したことを受け、PCB 穴あけ機を皮切りに事業範囲を拡大。半導体や自動車などさまざまな業界向けにターンキーソリューションを提供するようになった。

同社の強みは優れたカスタマーサービスとテクニカルサポートで、顧客と力を合わせて問題解決に当たっている。Anderson 社は、レニショーの最先端計測ソリューションによって最高水準の精度と品質を確保している。本ケーススタディでは、FORTiS-N エンコーダ、XL-80 レーザー干渉計および QC20 ボールバーが、ProSys ADV+フライス盤の改善にいかに貢献したかを解き明かしていく。

ProSys ADV+について

コンパクトな完全密閉型の CNC フライス盤である。ベースは剛性と安定性を実現するために花こう岩で作られており、3 軸にリニアエンコーダが使用されている。

課題

Anderson 社の顧客が直面していた課題のひとつが、熱膨張係数の低いホウケイ酸ガラスに近いコバール製ワークの加工であった (コバール: 鉄、ニッケル、コバルトの合金)。

ProSys ADV+ ProSys ADV+ フライス盤
コバールの加工には、並外れた剛性と熱安定性を備えた微細加工機が必要であり、加えてその顧客は、大容量の工具マガジンと、機械の無人操作が可能であることを求めていた。
Anderson 社の Alfred Könemann CEO Anderson 社の Alfred Könemann CEO

Anderson 社の Alfred Könemann CEO は次のように話す。

「コバールやインバールなどの材料は、短時間で熱がこもりやすいため、機械加工が困難です。また、加工硬化による摩損によって工具寿命が大きく縮んだり、工具が早々と壊れたりしてしまうこともあります。

お客様が求めているのは、工程を巧みに制御できる工作機械であり、それによって厳しい公差と質の高い表面仕上げの両方を実現することです。

切削工具は、材料除去中に発生する熱量を減らし、ワークの硬化が最小化になるように選択されます。また工作機械が最適な工具パスに沿って動けるかどうかには、幾何精度とリニアスケールが大きく関わっています」

当社の高い精度要件を満たすことから、私たちは自社の機械に FORTiS-N を採用することにしました。加えて、FORTiS に組み込まれているセットアップ LED も画期的で、それのおかげで機械の組付け時間を短縮することができました。

Anderson Europe GmbH (ドイツ)

解決策

高精度の精密加工機を製造するには、適切な計測機器メーカーとタッグを組むことが肝心である。レニショーと提携するという Anderson 社の決断は、計画的かつ十分に根拠のあるものであった。レニショーの品質と精度に対する評価は、単一の製品ラインにとどまらず、さまざまな用途に対応する包括的なソリューションにまで及んでいる。

Anderson 社は以前にもレニショーの工具計測システムを使用しており、その精度と信頼性を認めている。

カスタマーサポートに対するレニショーの姿勢は、このパートナーシップにさらにプラスに作用する。FORTiS の取付け中に Anderson 社が困難に遭遇したときには、レニショーの担当者がすぐにサポートに駆けつけた。

この迅速で確かなサポートもあり、Anderson 社の機械は常に最高の品質基準を満たしている。

優れた精度と省スペース性に加え、高い振動耐性をはじめとする画期的な特徴が FORTiS-N エンコーダが選ばれた理由であり、もうひとつのメリットとして、防水防塵性能の高さが挙げられる。

FORTiS-N エンコーダ FORTiS-N エンコーダ

同社の Sőren Langhammer チーフメカニカルエンジニアは、微細加工用途に FORTiS エンコーダを選択したことの価値を次のように述べている。

「当社の高い精度要件を満たすことから、私たちは ProSys ADV+に FORTiS-N を採用することにしました。加えて、FORTiS に組み込まれているセットアップ LED も画期的で、それのおかげで機械の組付け時間を短縮することができました。ProSys ADV+は微細加工に使用されるため、位置決め誤差をできるだけ小さくできる最高品質の計測システムが不可欠です。

Sőren Langhammer 氏 (Anderson 社 の Chief Mechanical Engineer)

Sőren Langhammer 氏 (Anderson 社 の Chief Mechanical Engineer)

(リニアガイドとダイレクトドライブで構成される) 当社のガイドシステムとエンコーダシステムは、カバーによって外的影響から保護されてはいるものの、干渉のリスクをなくすために、FORTiS を完全に密閉することがやはり重要です。

切り粉やクーラントなどからはエアパージでエンコーダの筐体を保護します。

そして振動はあらゆる加工で障害となるため、当社では、振動の低減に役立つ高質量の機械ベースを採用しています。FORTiS の同調質量ダンパーはこれを見事に補完してくれます」

Anderson 社の品質管理は、各構造部品を正確に計測することから始まる。例えば花こう岩の機械ベッドに対しては、メーカーからの納入後、入念な評価を行う。

XL-80 レーザー干渉計は、±0.5ppm という驚異的な位置決め測定精度を誇る製品である。部品をわずかのズレもなく組み付けるには、このレベルの精度が欠かせない。まさに高精度な組付けに理想的なシステムである。

XL-80 レーザーシステムは、一貫した品質を確保するために、機械組付け工程全体を通して機械部品の測定とアライメント調整に使用されている。

Langhammer 氏は続ける。

「レニショー XL-80 レーザー干渉計は、業界で高い評価を得ているキャリブレーションシステムです。アクセサリが豊富で、システムの精度は抜群です。

機械の組付け精度は極めて重要なので、当社では XL-80 レーザーを使用して測定とアライメント調整を行い、花こう岩ベッドだけでなく機械製造プロセス全体を通して品質を確保しています。

レーザーの操作方法を習得する必要がありましたが、レニショーさんのトレーニングのおかげでスムーズに行うことができました。今では当社の社員は XL-80 を安全で効率良く使用しています」

XL-80 レーザーシステム XL-80 レーザーシステム

Anderson 社では、ProSys ADV+の性能検証、および納入後の現場テストに、レニショー QC20 ボールバーを使用している。機械の能力を証明するテストレポートを Ballbar 20 から生成することができ、組付け後、据付け後そして定期メンテナンス後に機械の性能を把握できるため、顧客にとってメリットがある。

QC20 ボールバー QC20 ボールバー

Anderson 社の Applications Engineer である Ronny Nikel 氏が、同社と同社の顧客が QC20 ボールバーをどのように使用しているかを以下のように説明している。

「XL-80 レーザーを使用することで、機械の各軸を最適な状態でセットアップできます。しかし、軸が組み合わさってどのように動作するかは依然として確認する必要があるので、試運転で使用できる測定ツールを探していました。当社のテストにまさにうってつけなのが QC20 ボールバーです。

QC20 のおかげで、機械がどの程度良好かつ正確に動作するかを見える化できるようになりました。組付け時だけでなく、お客様の工場で機械を設置した後にもテストを行うことができます。

QC20 のもうひとつの利点は、あらゆる規格に準拠した測定プロトコルを作成できるため、お客様に正しいコンプライアンスレポートを提供できるということです。

さらには、組付けまたは据付け後だけでなく、予防メンテナンスのための定期的な停止時間の後にも、機械の能力を把握できるようになりました。お客様に、一定期間にわたる機械の能力を確認していただけますし、お客様が自ら QC20 を使って工作機械の性能を独自の要件と照合することもできます」

最後に

Anderson 社は、最も要求の厳しい用途を対象とする微細加工と微細穿孔を行う高性能工作機械の製造とサポートを手掛けている。それらの機械は、コバールやインバーなど加工しにくい材料の高精度加工に用いられるが、これらの材料は短時間で熱がこもりやすく、加工硬化によって摩耗が生じ、工具寿命が短くなることがある。顧客が求めているのは、加工工程を正確に制御して、厳しい公差と微細な表面仕上げを達成することである。

適切かつ正確に工具を動かすには、幾何精度と正確なエンコーダフィードバックが欠かせない。Anderson 社では、レニショーの各種計測製品を使用して、機械の組立て、試運転および動作を改善している。

レニショーの FORTiS-N は、ProSys ADV+のような微細加工機械の高い精度要件を満たすクローズドタイプエンコーダで、省スペース性と、異物の侵入を防ぐ高い堅牢性が特徴である。加えて、内蔵セットアップ LED により、簡単に取り付けることもできるため、機械の組付け時間短縮にも寄与できる。

XL-80 は高い精度で幅広い測定が可能なレーザーシステムである。機械パーツの幾何誤差を測定し、補正できるため、機械製造時の全体的な品質を保証できる。また、レニショーはスムーズに操作するためのトレーニングを実施している。

QC20 ボールバーは、ProSys ADV+の安定性と性能を評価するための有益なツールである。持運びが簡単で、機械の能力を検証し、試運転および整備後にレポートを生成することも可能である。

並外れた性能の機械を世に送り出す Anderson 社を、レニショーのユニークな製品とテクニカル&アプリケーションサポートが支えている。

Francesco Palumbo レニショーセールスエンジニアの Francesco Palumbo

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