ラマン分光を使った生体組織の分析
ラベルフリーで非侵襲的な手法の分光は、組織分析に理想的な分析ツールです。
生体分子、マーカー、染料や色素にターゲットを合わせることなく、化学情報 (核酸、たんぱく質、脂質などの要素からの情報) に満ちたスペクトルを抽出できます。ウェスタンブロット、GC/MS、MALDI-TOF のようなその他の多くの分析技術と異なり、ラマン分析では、サンプルをホモジナイズする必要がありません。
組織層を短時間で正確に同定
前がん性組織、がん性組織、健康な組織を区別、同定して、分画できます。
- 抗体との結合が不要: プロトコルを最適化する際にコストと手間を節約できます。
- 全体の分子構成に基づいて、組織内の解剖学的構造の層を確実に分画して、客観的に同定できます。腫瘍のマージンも分画できます。
- 主観的な比色分析や形態学に基づく分析を回避できます。
- 形態変化がはっきりと見られない組織内の化学変化 (DNA/RNA、グリコーゲン、脂質、たんぱく質、脂質相、DNA 整合性のレベルなど) を特定できます。
生体系の理解
徹底した組織の化学分析を行い、組織変化の根底にあるメカニズムを理解できます。
研究対象:
- 有機体の成長
- 病気の病原
- 薬品や刺激薬 (化学療法剤、トキシン、抗炎症薬など) に対する組織の反応
1 回の処理で検査
- タンパク質、脂質、核酸、炭水化物のレベルと立体配座の変化
- 無機沈着物 (胸部組織やアテローム性動脈硬化における石灰化など) の存在
- ヘムタンパク質 (ニューログロビンやミオグロビンなど) のレドックス状態
組織をイメージ化
レニショーの StreamLine™ は、組織イメージの生成に特に適しています。組織に光や熱による損傷を及ぼすことなく、高いレーザーパワーで測定できるため、最短時間でイメージを取得できます。
平坦でない表面の研究
StreamLine の Surface 機能を使用すると、平らでないサンプルでも、イメージを生成できます。
スキャンの自動化
レニショーの完全自動ラマンシステムは、複数の組織切片を連続してスキャンするように設定して、無人操作を行えます。手間が省かれ、ラマンシステムを最大限に活用できます。
ウェビナー – ラマン分光を使った組織や生体液内の疾患の予見
医療において重要な分析技術としての役割を担っているのがラマン分光です。サンプルから詳細な化学情報を取得できるため、組織や生体液内の疾患の状態を効果的に評価できる手法と言えます。
本ウェビナーでは、RA816 生物学用分析装置が臨床分野でどのように活用できるのかを紹介しています。生体外サンプルから膨大なスペクトルを短時間で収集できるため、組織や生体液の疾患を予見し、検出するモデルを作成できます。
ウェビナーの視聴その他の参考文献:
Kast et al (2014) J Neurooncol doi 10.1007/s11060-014-1536-9
Bonifacio et al (2010) Analyst 135: 3193-3204
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