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精密製造/制御の進化、TONiC™ エンコーダが握るそのカギ

Sun Guohua 氏 (U-Precision 社の President)

Sun Guohua 氏 (U-Precision 社の President)

背景

ここ数年、AI や 5G、IoT などの新技術の急速な発達に伴い、半導体の需要が伸び続けている。装置メーカー各社は、高精度かつ高度な製造プロセスで求められる課題に対応するために、新モデル開発への投資を徐々に拡大している。半導体の製造では、フォトリソグラフィ用のデュアルウェハステージ、ウェハ接合装置、レーザーアニーリング装置、機器フロントエンドモジュールなどが用いられる。

U-Precision Tech 社 (以下、U-Precision 社) は、北京に拠点を構える、精密装置製造におけるマーケットリーダーである。同社の高性能半導体装置やモーションステージには、レニショーの光学式エンコーダシステムである TONiC が採用されている。

U-Precision 社は主に、半導体産業や精密加工産業に向けて単体装置製品と測定コンポーネントや制御コンポーネントといったコンポーネント製品の両方を展開しており、モーションステージの売上が、売上全体の 3 分の 2 を占めている。

課題

半導体プロセス装置は、コンポーネントの仕様および測定システムと制御システムの精度に極めて厳しい要件が求められる。製造装置についても、10nm や 7nm といった最先端半導体の要求も満たしつつ、価格競争力も求められる。

U-Precision 社の President である Sun Guohua 氏は以下のように説明する。

「当社は設立以来、フォトリソグラフィ用のウェハステージの開発を行っています。デュアルウェハステージに必要な技術を有している唯一の中国企業であり、世界でも我々は第 2 位に位置します。ウェハステージは、フォトリソグラフィシステムにおける主要なふたつの構成品のひとつです (もうひとつは、EUV 露光システム)。極めて高精度なモーションコントロールが不可欠です。当社では、平面空気浮上法、平面磁気浮上法、磁気浮上法ベースの 6 自由度のマイクロポジショナなど主要領域で独自の技術を開発しており、ハイバリューなフォトリソグラフィ用ウェハステージからカスタム製品まで、幅広いモーションステージを展開しています。

他国のメーカーの同等品質のモーションステージよりも当社製ほうが価格面で有利で、市場への参入当時から、先端半導体向けとして上々の評価を得ていました」

半導体の製造では、高いレベルでのカスタム性と装置全体としての効率 (生産的な製造時間の長さ) が求められる。加えて、装置メーカーとしては、極めて厳しい仕様条件と生産にかかる時間の短縮にも取り組む必要がある。U-Precision 社では、ウェハボンディング (ウェハ間のギャップを正確に制御するために高精度なモーションコントロールが不可欠) など要求の厳しい工程向けの製品を開発している。

光学式エンコーダは、ステージや工程内の機械にとって最も重要なコンポーネントのひとつです。徹底的な評価や検査を行ったうえで、レニショーさんのエンコーダを採用し、現在も継続して使用しています。

Beijing U-Precision Tech 社 (中国)

RGSZ20S スケール - 機材と同じ熱伸縮を見せる

RGSZ20S スケール - 機材と同じ熱伸縮を見せる

解決策

レニショーの光学式エンコーダはラインナップが豊富で、信頼性の高さ、そしてスペックの高さから半導体業界の要求を満たすことができ、U-Precision 社の製品に理想的と言えるほどフィットした。

同社の標準モーションステージは、最大で 7 軸構成にすることができ、直線軸の位置決め精度は0.5µm を、双方向の繰り返し精度は最高で0.1µm を誇る。また同社は顧客の要望に応じてカスタム設計にも対応している。U-Precision 社のステージには、ナノメートルレベルの分解能の TONiC™ エンコーダをはじめとしたレニショー高性能エンコーダが組み込まれており、ステージを駆動するリニアモータは、そのエンコーダから出力される位置フィードバックを利用している。その先端的な設計から、同社のステージは半導体分野だけでなく、フラットパネルディスプレイやガラス切断、3D イメージングなどでも活用されている。U-Precision 社はステージ以外にも、ウェハ接合装置、レーザーアニーリング装置などを提供しているが、それらすべてにレニショーの光学式エンコーダが採用されている。

TONiC は、レニショーが誇る高性能光学式インクリメンタルエンコーダである。Ti インターフェースとの組合せで、リニアシステムでもロータリシステムでも分解能 1nm を達成可能であり、0.1µm の分解能では 3.6m/s での動作が可能である。取付け公差が広く、ボタン 1 個でキャリブレーションを行えるため、短時間で簡単に取り付けられる。周期誤差は30nm 未満と低く抑えられているだけでなく、動的信号処理機構によって安定した信号を出力する。

製造装置の内部は (モータの熱などによって) 温度が上がり、スケールなどのコンポーネントの寸法が変化することがある。

U-Precision 社は主に TONiC リードヘッドと RGSZ20S ゴールドテープスケールを組み合わせており、RGSZ20S は厚さわずか 0.1mm のマスタリングスケールで、機材と同じ熱伸縮を見せる。同社のモーションステージの大半は、熱質量が大きく、熱膨張率が低い花こう岩を用いている。短い間隔で局地的に気温が変化しても、機材 (ここでは花こう岩) の寸法は大きく変化しない (= スケールも変化しない) ため、高い精度が期待できる。

なお、TONiC は、機材とは独立して熱伸縮する「フローティング」スケール (RTLC、RELM など) とも組み合わせて使用することができるエンコーダである。フローティングスケールはスケール自身の熱膨張率で伸縮の度合いが決まるため、熱変位補正を組み込む際に機材の熱膨張率を考慮する必要がない。

当然のことながら、フローティングスケールを採用するかマスタリングスケールを採用するかは、機材の材質や軸長、ワークの熱膨張係数など、複数の要素を加味して決めなければならない。

また U-Precision 社では、出荷前の製品のキャリブレーションにレニショーの XL-80 を使用している。XL-80 は、機械のキャリブレーションと品質管理を目的としたレーザーシステムで、セットアップが容易なこと、位置決め測定精度が 0.5ppm と非常に高いこと、軽量で持運び可能なことが特徴のシステムである。

「レニショーさんの XL-80 にはたくさんの利点があります。操作しやすいですし、セットアップが簡単です。それに、ソフトウェアも使い勝手に優れています。以前使っていたレーザーシステムと比べて、3 割ほど効率化が進みました」(Sun 氏)

結果

TONiC は半導体製造装置に理想的なエンコーダである。U-Precision 社をはじめ多数の OEM 各社にとってコストや製品面でメリットを期待できる。

最後に、Sun 氏は以下のように述べる。「当社は確固とした技術力を持っていますが、サプライヤとの協力関係も不可欠です。光学式エンコーダは、ステージや工程内の機械にとって最も重要なコンポーネントのひとつです。徹底的な評価や検査を行ったうえで、レニショーさんのエンコーダを採用し、現在も継続して使用しています。レニショーさんのサポートは非常に迅速で、プロフェッショナルなアドバイスをしていただけます。レニショーさんのおかげで獲得できたオーダーはちょっとやそっとでは済みません。特に、レニショーさんのトレーニングの質の高さが印象的です。これからも一緒に仕事をしていきたいですね。

レニショー TONiC エンコーダ

レニショー TONiC エンコーダ

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  • ケーススタディ:  精密製造/制御の進化、TONiC™ エンコーダ が握るそのカギ