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レニショーエンコーダでダイレクトドライブモータのパフォーマンス向上

背景

Haozhi 社で Vice President を務める Qun Lei 氏は工作機械産業における自社の役割について、以下のように述べる。

「当社は最初は、工作機械の主軸の製造をメイン事業として行っていました。長年にわたって努力を続け、現在はグローバル市場をけん引しています。当社ではさまざまな産業に対して幅広い主軸製品を展開しています。その代表格が、最高速度 400,000rev/min と 6µm の回転速度を誇る世界最速の主軸です。また、工作機械用のロータリテーブルやリニアモータも手掛けており、さらには近年成長著しいロボット市場に対応するために減速機やロボット関節関連製品の開発も行っています。主に、東南アジアや欧州の国々に輸出しています」

Haozhi Mechanical and Electrical 社 (以下、Haozhi 社) (中国) は、工作機械やロボットで使うダイレクトドライブモータのトップメーカーとして市場をけん引している。

ダイレクトドライブ (DD) モータとは、ギヤやプーリ、チェーン、ベルトといった機械的な減速機構を介さずに直接的に出力を伝達するモータである。

リニアモータやロータリテーブルでの DD 技術はここ数年で成熟してきている。工作機械の全体的なパフォーマンスが大幅に向上するため、加工の質、速度そして効率も同様に向上する。ひいては加工時間の短縮とコストの削減につながる。

Haozhi 社はダイレクトドライブロータリ (DDR) テーブルやリニアモータについても製造を手掛けており、レニショー製の光学式エンコーダを採用することで競合を凌ぐ製品を世に送り出している。

レニショーさんの画期的な製品を初めて知ったのは 10 年以上前のことです。以来、ご協力いただいています。レニショーさんの製品には全幅の信頼を置いています。ロータリテーブルの開発を始めようとしたとき、何の問題も支障もなく、レニショーさんの光学式エンコーダの採用が決まりました。

Haozhi Mechanical and Electrical 社 (中国)

位置精度の向上、信頼性の向上、メンテナンスコストの低減。これらが DDR モータの通常の市場トレンドである。

近年 DDR テーブルは自動製造や軽加工での使用が増している。

ロータリテーブルは、携帯電話やタブレットケースといった精密軽加工に使う機械の第 4 軸か第 5 軸として搭載されることが一般的である。また、自動生産ラインのインデックステーブルモジュール内で使われることもある。

日常的に使われる消費財の多くには、高い精度とモーションコントロールを備えたロータリテーブルで精密加工して作り上げるパーツが欠かせない。高い精度とモーションコントロールがあるからこそ、なめらかな表面仕上げが可能になる。

ロータリテーブルをはじめとするモーションコントロールシステムのエラーバジェットは、機械構造、機械コンポーネント、トランスミッションそしてポジションエンコーダに関連する要素に左右される。

ウォームギヤ駆動の従来的なロータリテーブルの応答性や動剛性を高めようとする際にありがちな問題のひとつが、機械的な共振である。特に懸念となるのが、負荷とモータ間でのイナーシャミスマッチだ。

DDR テーブルは、従来のロータリテーブルで生じるような機械的な共振の多くが存在しない。求められる速度やトルクを実現しやすい。

Haozhi 社のモーションコントロール製品において最も重要なコンポーネントのひとつがエンコーダである。ロータリモータには、周期誤差、ジッタ、取付け誤差 (リングスケールの偏心を含む)、スケールの目盛り誤差、モータとリングスケールの結合ミスなどが大きく影響する。

課題

Haozhi 社のモータアセンブリライン

Haozhi 社のモータアセンブリライン

解決策

工作機械セクタで大きな存在感を見せるレニショーであるが、Haozhi 社とも長年にわたりパートナー関係を築いてきた。

Haozhi 社が新たに展開するロータリテーブルシリーズには、RESOLUTE™ アブソリュートエンコーダと RESA リングが採用されている。

レニショーさんの画期的な製品を初めて知ったのは 10 年以上前のことです。以来、ご協力いただいています。レニショーさんの製品には全幅の信頼を置いています。ロータリテーブルの開発を始めようとしたとき、何の問題も支障もなく、レニショーさんの光学式エンコーダの採用が決まりました。レニショーさんの光学式エンコーダは取付けが簡単で、作業に時間がかかりません。

それにアフターサービスも非常に優れています。開発の初期段階で生じた問題を助けていただきました」(Lei 氏)

RESOLUTE/RESA は 30µm ピッチのロータリアブソリュートシステムであり、周期誤差わずか±40nm、10nm RMS 以下のジッタといった特徴を備えたクラストップクラスの性能を誇る。

RESA は取付け方別に 2 種類をラインナップしている。ひとつはレニショーが特許取得したテーパー固定を採用したタイプである。取付け後の偏心を容易に取り除ける仕様になっている。もうひとつは薄い設計のリングであり、回転慣性を低減できるメリットがある。

レニショーの非接触光学式エンコーダでは、従来の密閉式のエンコーダに見られるバックラッシュ、シャフトのねじれといったメカニカルなヒステリシス誤差が生じない。

また RESOLUTE は業界標準のシリアル通信プロトコルに対応しているため、コントローラにリアルタイムの位置データをダイレクトに出力できる。

Lei 氏は以下のように続ける。「親和性とラインナップの豊富さは、レニショーエンコーダが圧倒的です。通信プロトコルには多数のものがありますが、RESOLUTE は FANUC、Mitsubishi、Siemens DRIVE-CLiQ、BiSS® といった主要プロトコルに対応していますし、通信プロトコルの仕様が変わっても、リードヘッドのサイズもリングのサイズも変わりません。構造上の設計を変更しなくて済みます」

また、Haozhi 社はレニショーのレガシーエンコーダシリーズである RG2 と RG4 を組み込んだリニアモータも生産している。RG2 と RG4 は、3C (Computer、Communication、Consumer) などで求められる厳しい条件を満たすことができるエンコーダである。

Lei 氏は、リニアステージやロータリステージの品質管理におけるレニショーのレーザーキャリブレーションの役割についても強調する。

「当社では、レニショーさんの XL-80XR20-W をリニアモータやロータリステージの品質管理に使っていて、全数検査しています。精度と使いやすさ、信頼性の観点から検査装置として採用を決めました」

リニアモータとロータリテーブルの検査に使われている XL-80 と XR20-W

リニアモータとロータリテーブルの検査に使われている XL-80 と XR20-W

Haozhi 社のダイレクトドライブモータに組み込まれている RESOLUTE

Haozhi 社のダイレクトドライブモータに組み込まれている RESOLUTE

結果

RESOLUTE エンコーダを CNC ロータリテーブルに組み込んだことで、精度、信頼性そしてモーションコントローラ性能に優れた製品が実現した。

Haozhi 社のロータリテーブルは、位置決め精度で±10arc 秒、繰り返し精度で±2arc 秒、広範なトルクと速度を誇る。リニアモータについても双方向の位置決め精度で±2µm、連続推力 0.2~4.0kN、ピーク推力 1~12kN を達成している。

Haozhi 社のロータリテーブルには IP68 仕様のものもあるが、RESOLUTE エンコーダの優れた耐環境性能も無関係とは言えないであろう。

製品開発を続け、DD モータ技術で最先端を走る Haozhi 社の裏側には、レニショーとの長期にわたるパートナー関係があるからこそだ。

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Haozhi 社について

高精度な機械コンポーネントや電気部品の研究開発、設計、生産、販売、メンテナンスを得意とするテクノロジー企業である。

OEM 製造装置やロボットに組み込まれる工作機械主軸、ロータリテーブル、DD リニアモータを主力としている。2016 年、深セン証券取引所の Growth Enterprise Market (GEM) に上場した。