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コンフォーカルラマンマイクロスコープを用いた口腔バイオフィルムのマッピング

2022 年 3 月 1 日

微生物は、自らの生存のために表面にバイオフィルムを形成します。歯肉下領域で細菌が蓄積し、バイオフィルムが形成されると、歯肉炎などの歯周感染症が発生する場合があります。微生物組成と生物膜構造を研究することは、口腔疾患の機序を理解するのに役立ちます。

プロクター&ギャンブルと、フラウンホーファー研究機構の境界層バイオプロセス研究所の研究者が、レニショー inViaTM ラマンマイクロスコープを使用してラマン分析および多変量分析を行い、バイオフィルムモデルでふたつの歯肉下細菌種を予測して分離しました。研究者たちは、初期に定着した Actinomyces denticolens と Streptococci oralis という 2 種の細菌からスペクトルを収集しました。具体的には、それぞれの細菌株の単一種バイオフィルムから 300 本のスペクトルを収集し、2 種間でピーク強度に差があることを明らかにしました。その後、主成分分析 (PCA) を適用してこの 2 種をふたつの異なるクラスタに分けました。

バイオフィルムスペクトル

A. denticolens および S. oralis 単一種バイオフィルムの平均ラマンスペクトル。スペクトル差は絶対差スペクトルで表されています。PCA スコアプロットは、ふたつの細菌種の分離状況を示しています。

バイオフィルムのラマンイメージ

A. denticolensS. oralis の分布状況の分析。形態分析とラマン分析を、同じ試料領域を用いて直接比較しました。

PCA によってふたつの細菌種を明確に分離した後、研究者たちは、A denticolensS.oralis を含む試料からラマンマップを収集しました。続いて、この 2 種の細菌をスライド上で互いに隣り合わせにして増殖させ、コンフォーカルラマン分光を用いてそれらの界面領域をマッピングしました。さらに、クラスタ分析を用いて細菌を同定および分離し、この 2 種の界面の境界を明確化しました。ラマンマッピングの妥当性を検証するために、同じ試料領域に対して形態学的分析も実施しました。この技法により、細菌を形状 (棒状と円状) に基づいて分けました。形態分析の結果、このふたつの細菌種の間には明確な境界線が存在することが明らかになり、ラマン分光の効果が証明されました。

研究者たちは次に、人工的に増殖させた細菌バイオフィルムからランダムに選んだ 15 領域を、コンフォーカルラマン分光を用いて分析しました。具体的には、クラスタ分析を用いて A. denticolensS. oralis を各領域内で分離し、それぞれの種の分布状況を可視化しました。そして、ラマンデータを形態分析データと比較することにより、ふたつの細菌種の分離を再度検証しました。ふたつの分析から得られたイメージを重ね合わせ、ラマン分析と形態分析の両方によって分類されなかった領域に青色のラベルを付けました。細菌クラスタの縁部に多少の不一致が見られるものの、主なクラスタはすべての試料領域にわたって正確に同定されました。このことから、ラマン分光が 2 種バイオフィルムにおける細菌被覆を効果的に判断できることが確認されました。

バイオフィルムチャートのラマンイメージ

二菌種複合バイオフィルムにおける A denticolens および S.oralis の分布状況の分析。形態分析とラマン分析の結果を直接比較しました。重ね合わせたイメージは、形態分析とラマン分析 (青色) との間で種分類が異なる領域を示しています。

まとめ

コンフォーカルラマン分光により、非破壊的かつ手頃な費用でバイオフィルムを研究できます。ラマン分光によって生成された化学的フィンガープリントが、バイオフィルムの組成と構造に関する情報を提供します。その後の多変量解析により、スペクトルを小さな差に基づいて効果的に分離できます。ラマン分光には、口腔疾患の進行に関する私たちの理解をさらに深められる可能性が秘められています。


本稿は、2021 年 12 月に Frontiers in Microbiology にて公開された、Kriem Lukas Simon、Wright Kevin、Ccahuana-Vasquez Renzo Alberto、Rupp Steffen 著「コンフォーカルラマンマイクロスコープを用いた歯肉下 2 種バイオフィルムモデルのマッピング」の要約です。原著は https://www.frontiersin.org/article/10.3389/fmicb.2021.729720 に掲載されています (英語版のみ)。

この記事で取り上げたトピックは、原著をレニショーの社員が解釈および要約したものです。いずれのトピックも単なる要約であり、著者の原著を忠実に表現したものと解釈すべきではありません。ライセンス許諾者は、いかなる形でも Renishaw plc を支持していません。

原著の著作権表示: copyright © 2021 Kriem, Wright, Ccahuana-Vasquez and Rupp.これは、クリエイティブコモンズ表示ライセンス (CC BY) の条項に基づいて配布されているオープンアクセス記事です。原著者および著作権所有者のクレジットが明記され、このジャーナルに掲載された原文献が引用されることを条件に、学術慣行に従って他のフォーラムで使用、配布、または複製することが許可されています。これらの条項に準拠しない使用、配布、または複製は許可されていません。

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