TONiC™ UHV インクリメンタルエンコーダシステム with RESM20 ロータリ (角度位置決め用) リング
機能
- リードヘッドサイズ: 35×13.5×10mm
- 最高分解能 1nm
- 最高速度 3,673rev/min
- 超低周期誤差: 平均±30nm 未満
- IN-TRAC™ オプティカルリファレンスマーク
メリット
- UHV (超高真空) 対応タイプ
- 内径が大きく取付けが簡単な、薄型リング
- 動的信号処理でモーションコントロール性能が向上したコンパクトリードヘッド
- 取付けや最適化に便利な診断キットを用意
TONiC UHV とは
TONiC UHV は、優れたモーションコントロールを実現する、超高真空対応のコンパクト非接触式エンコーダシステムです。
最高速度は 10m/s で、Ti インターフェースと組み合わせた場合、リニアおよびロータリシステムとしての最高分解能は 1nm です。取付け公差が広く、ボタン 1 個でキャリブレーションを行えるため、短時間で簡単に取り付けられます。また、動的信号処理により、平均周期誤差±30nm 未満という優れた信号の安定性を確保し、優れたモーションコントロール性能を実現します。
RESM20 リングとは
RESM20 は、円周に 20µm のピッチで目盛りを刻んだステンレススチールリングで、IN-TRAC™ オプティカルリファレンスマークを組み込んでいます。タイプとしては 2 種類あり、それぞれにさまざまなサイズ (Ø52mm~Ø550mm) をご用意しています。取付け精度に優れた A セクションリングは、テーパー固定方式を採用しているため、加工パーツの公差を厳しく設定する必要性がなく、偏心を排除できます。また、質量が軽く低イナーシャ設計の薄型 B セクションリングもラインナップしています。A セクションリングと B セクションリングは、いずれも内径が大きい中空構造であるため、超高真空環境でも柔軟に対応できます。さらに非接触式のため、従来の密閉式のエンコーダに見られるバックラッシュ、シャフトのねじれ、その他のメカニカルなヒステリシス誤差の影響を受けません。
このエンコーダシステムのメリット
UHV (超高真空) 対応タイプ
TONiC UHV リードヘッドは、標準タイプの TONiC の優れた性能を継承しながら、超高真空対応の部品と製造工程で設計製造されたリードヘッドです。10-10Torr までの超高真空条件で使用できます。
TONiC UHV エンコーダと各種アクセサリは、UHV 対応素材と接着剤を使用した特別設計により、低いガス放出率とクリーンな残留ガス分析 (RGA) を確保しています。ウェハ処理/検査、科学計測器、分光器、真空検査装置などのさまざまな用途に最適です。
高い測定パフォーマンス
TONiC には、市場で高く評価されているフィルタリング機構と信号処理機能が組み込まれています。オートゲインコントロール (AGC) と オートオフセットコントロール (AOC) という機能によって、アナログ信号のノイズやリードヘッド内のデジタルジッタを低減します。
ジッタ <±0.5nm RMS、周期誤差 <±30nm とそれぞれ極めて低く抑えられているため、位置精度が高く、リニアモータでの発熱量の低減に貢献します。また、ジッタが低いため、低速で高精度が求められる用途で、よりスムーズな速度制御が可能になるというメリットも期待できます。
柔軟な構成
TONiC には、速度や分解能を柔軟に選択できるよう、インターフェースを幅広く用意しています。後半の工程で組み込む場合や外部インターフェースを使用する場合、エンドユーザー側でのカスタムに TONiC リードヘッド 1 個で柔軟に対応できます。
TONiC インターフェースの種類としては、デジタル出力、アナログ出力、デジタル/アナログ出力をご用意しています。TD インターフェースでは 2 種類の分解能を切替え可能で、DPI インターフェースでは幅広いフォーマットの印刷用途に対応しています。多種多様な構成に対応できる TONiC の柔軟さは、OEM 各社が高度なモーションコントロールや高い処理量を実現するうえで有効と言えます。
対応インターフェース
TD (デュアル分解能) インターフェース
- 選択可能なデュアル分解能のデジタル信号出力
- 高速移動と高精度の位置決めを必要とする用途に最適
DOP (デュアル出力) インターフェース
- デジタル信号と 1Vpp のアナログ信号を同時出力
- 移動軸と複数動作を同期させる用途向けに設計
DSi (Dual Signal interface: デュアルシグナルインターフェース)
- DSi は、RESM20 リング (パーシャルアークは REST20 リング) に取り付けた 2 個の TONiC リードヘッドのインクリメンタル信号を組み合わせて、ベアリングの振れによる影響を補正し、偏心などのハーモニックエラーを排除して、取付け誤差を平均±2.0arc 秒に抑えます。
診断キット (アクセサリ)
TONiC 診断ソフトウェアは、TONiC エンコーダの取付けの最適化、システムキャリブレーションに使用するソフトウェアです。ただし、TONiC 診断用ハードウェアと一緒に使う必要があります。このハードウェアの購入については、レニショーまでお問い合わせください (パーツ No. A-9411-0011)。ハードウェアは、USB ケーブル (キットに付属) で PC に接続するか、エンコーダの接続先機器を介して接続できます。
TONiC 診断キットの詳細をご覧ください。
技術仕様
対応スケール | RESM20: 薄型のステンレススチールリング。内側にテーパー加工を施した標準の A セクションリングと低イナーシャの B セクションリングの 2 種類 REST20: パーシャルアーク用 |
リードヘッドサイズ (長さ×厚さ×幅) | 35mm×13.5mm×10mm |
スケールピッチ | 20µm |
熱膨張率 (20℃時) | 15.5±0.5µm/m/℃ |
リング外径 | 52mm~550mm。これより大きなカスタムサイズについては、レニショーまでお問い合わせください。 |
ラインカウント | 8,192~86,400 (リングサイズに依存) |
リファレンスマーク | RESM20: 1 個の IN-TRAC リファレンスマークを配置 REST20: パーシャルアーク用に 2 個のリファレンスマークを配置 |
精度* 目盛精度 システム精度 | ±3.97~±0.38arc 秒 (リング直径に依存) ±4.20~±0.40arc 秒 (リング直径に依存) |
最高速度 アナログ デジタル | (詳細はデータシート参照) -3dB で 3,673rev/min (52mm の RESM20 の場合) 3,673rev/min (52mm の RESM20 に分解能 5µm の TONiC を使用した場合) |
周期誤差 | 平均 <±30nm |
動的信号制御 | オートゲインコントロール、オートオフセットコントロールなどのリアルタイム信号処理で、動作中にパフォーマンス最適化 |
インクリメンタル信号 アナログ デジタル | (角度分解能の詳細はデータシート参照) 1Vpp (20µm 周期) 分解能 5µm~1nm |
電気接続 | ケーブル長 0.5m、1m、1.5m、3m、5m、10m、ミニコネクタ (TONiC インターフェースに直接接続) |
電源 | 5V±10%、<100mA (アナログシステム)、<200mA (デジタルシステム) (未終端) |
リードヘッド消費電力 | < 100mA |
振動 (動作時) | 最大 100m/s2@55Hz~2,000Hz |
衝撃 (非動作時) | 1,000m/s2、6ms、½ sine |
動作温度 (システム) | 0℃~+70℃ |
ベーキング温度 (非動作時) | 120℃ (リードヘッドとスケールのみ) |
防水防塵性能 | リードヘッド: IP20 インターフェース: IP20 |
ケーブルの仕様 | 錫メッキ銅縒り単層シールド、フッ素樹脂皮膜芯線 |
*システム精度とは、目盛誤差に周期誤差を加えたものです。目盛精度とは、1 個のリードヘッドで計測した角度と真の回転角度との最大偏差です。偏心などの誤差は含みません。
詳細については、データシートを参照してください。