TONiC™、デジタルエンハンスメントプリントプレス Scodix Ultra™ シリーズに採用
背景
Scodix Ultra™ デジタルプレスはシリーズ中最も生産性が高く、市販のプリンターやコンバーターのマーケティング資料や文房具、ブックカバー、プレミア感のある包装、グリーティングカードなどといった幅広い用途に対しての機能性を大幅に向上します。また、オンデマンド印刷機能によってユーザーの自由度が向上しており、これまで以上に要求の高い産業の厳しい要求にも応えたその性能により、新しいレベルのスピード、品質、効率を実現します。Scodix Ultra では、高さ 250 ミクロン、最大 99GU の高光沢印刷や高温アルミのデボス/エンボス加工などが可能な性能を有しています。また、特許取得した技術には、オーバープリントシステムや、PAS™ などの独自アルミ工法があります。
Scodix Ultra の大きな特徴の 1 つとして、紙やダンボールからポリ塩化ビニールやラミネート紙など、幅広い印刷基板に対応することが挙げられます。幅広い印刷基板に対応するには、新しいタイプの、正確な位置決め制御が可能なコンベヤシステムが不可欠でした。Scodix 社独自技術 RSP™ には、4 台の CCD カメラの下に配置した印刷基板の非常に高精度な位置決め制御と、最適な画像認識を実現する高度なアルゴリズムが組み合わされています。この非常に高精度なモーションコントロールにレニショー光学式インクリメンタルエンコーダシステム TONiC が適していることが社内テストで実証され、プレスの (X 軸直線送り用に選定されるに至りました。
他製品とも検討した結果、光学式リニアエンコーダ TONiC が我々のニーズに適っていると判断しました。決め手となったのは、精度と再現性、品質です。
Scodix 社(イスラエル)
課題
Scodix Ultra は、印刷基板ロードステージ、アライメントステージ、プリントステージ、アンロードステージといった複数の様々なステージから構成されます。Scodix 社のシステムには、従来的なベルトコンベヤは使用されておらず、断続的に動作する剛性の高いプラットホーム(プラテン)が 2 つ採用されており、各プラテンは横並びに配置され、縦方向と横方向の両方に動きます。このプラテンに載せた印刷基板の位置とプラテン自体の位置を正確に求めることが高品質な印刷に不可欠であり、また、印刷基板とプリントヘッド間で生じるずれを補正する必要があります。Scodix Ultra では、印刷基板の各コーナーにあるレジストレーションマーカーが CCD カメラによってキャプチャされ、位置的なずれを補正するための補正量の算出に用いられます。4 台の可動式 CCD カメラが印刷基板の各コーナーの上方に取り付けられており、コーナーを認識すると、オペレーターがプログラミングした最適な向きを基準にずれ(オフセット)が算出および保存され、プリントモジュールや硬化モジュールに送信されます。その後オフセットが直接デジタル画像ファイルに適用され、誤差が補正されます。誤差補正の対象は、直線軸(X 軸と Y 軸)、角度のずれ、サイズのずれ、さらにはそれらの組み合わせです。
各キャリアの位置が、印刷基板のロードタイミング、プリントモジュール内の印刷基板の位置や速度、硬化動作やアンロード動作のタイミングに影響を与えるため、各プラテンの位置を常に把握しておく必要があります。
プリントヘッドを固定しておくと印刷基板を横切るようなスキャン動作がなくなり、シングルパスでの印刷が可能になりますが、印刷工程でのエラーを防止し、高精度かつ高品質な画像を複製するには、プラテンの位置と速度が、測定したシステム出力と同じであることが不可欠です。そのためには、高性能なリニアエンコーダをプラテンの搬送システムに実装し、高ゲインのフィードバック制御を実現する必要があります。
Scodix 社のチョコレート箱の例 - エンボス加工を施した金色の背景パターンの内側にラベルテキストが目立つように印刷されています
解決策
課題は、印刷機の多様かつ厳しい要求を満足させられる、高精度・高信号安定性のエンコーダを確保すること、グリス、ちり、スクラッチなどといった発生する可能性のある汚れへの耐性を確保すること、さらには必要最低限のメンテナンスで稼働させていくことでした。そこで、各プラテン用に Scodix 社に選定されたのが、分解能 5nm の TONiC と 両面テープ式 RGSZ ゴールドスケールでした。スケールは印刷機の両サイドに、エンドクランプにて機材の熱膨張率に合うように取り付けられています。RGSZ スケールは印刷産業向けに設計してあり、ラッカー仕上げが施された金メッキ仕様のため、腐食耐性が高く、汚れが落ちやすくなっています。印刷機の Y 軸には、RLS(レニショー関連会社の 1 つ)製の LM10 磁気式リニアエンコーダと MS10 スケールが採用されており、各プラテンの一定角度における横方向のアライメント制御が可能になっています。
「他製品とも検討した結果、光学式リニアエンコーダ TONiC が我々のニーズに適っていると判断しました。決め手となったのは、精度と再現性、品質です。表面形状測定装置とコンパレータを使ってシステム性能が仕様内に収まるかの精度テストを行なったところ、TONiC は非常に優れた測定性能結果を示しました。Scodix Ultra への実装やテストは、すべてレニショーのローカルテクニカルサポートチームと連携して行いました。」(Scodix 社 R&D プロジェクトマネージャー、Gur Shapira 氏)
Shapira 氏はさらにこうも続けます。「我々にとってレニショーは、我々の顧客の利益へと繋がる製品の品質や信頼性を確保してくれる、かけがえのない極めて重要なサプライヤーです。」
結果
レニショーの TONiC は Scodix 社にとって、Scodix Ultra シリーズに採用されている特許取得の印刷基板搬送システムの自動フィードバック制御を実現するための手軽なソリューションとなりました。TONiC の最先端の性能に、レニショーの卓越したグローバルサポートも加わり、Scodix 社は真に革新的な技術を手にするに至っています。レニショーと Scodix 社のコラボレーションは成功を収め、付加価値を生んでおり、両者にとってのイノベーションをさらに生み出していきます。
Scodix 社について
Scodix 社はイスラエルのロッシュハインに本拠を置く、グラフィックアート産業向けのデジタルエンハンスメントプリントプレスの大手プロバイダーで、プリントサービスプロバイダーや折りたたみ式ダンボール製造業者が付加価値を提供できるようにするような事業を展開しています。Scodix 社の技術 Scodix SENSE™ を搭載したデジタルエンハンスメントプレスは、高品質な強化機能を有しており、グラフィックコンテンツのインパクトを増大させます。
Scodix 社 R&D プロジェクトマネージャー、Gur Shapira 氏のご協力に感謝いたします。