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ロボットの進化に貢献する RLS とレニショー

協働ロボットで世界が変わる。それには、より小型でよりパワフルなモータが不可欠。
ロボット用モータのトッププレイヤである TQ-RoboDrive は技術革新の先駆者である。

背景

協働ロボット―その発展と進化に、高齢者への支援、働き方、さらには外科医の心臓手術さえ変わることが期待される技術である。

レニショーの関連会社である RLS は、TQ-Group の一員である TQ-RoboDrive (ドイツ) と長年にわたって協力関係を続けている。

TQ-RoboDrive は、協働ロボット (最大ペイロード 20kg) 用のフレームレス中空シャフトステータ/ロータキット (ILM シリーズ) を製造している。フレームタイプの中空シャフトサーボモータなども幅広く手掛けており、自社のサーボキットを使ったパワフルなモータ設計や、スペース効率に優れたハウジングなどを特徴としている。

その TQ-RoboDrive に対し、RLS は AksIM™ 磁気式アブソリュートエンコーダエンコーダと OnAxis™ エンコーダを供給している。供給している AksIM™ は、新たなフォームファクタや TQ-RoboDrive が求める性能要件を満たすために、RLS とレニショーが協力して改良を加えたモデルである。

RLS の AksIM™ 磁気式アブソリュートオフアクシスエンコーダ

最終的に、ILM25 と ILM38 のサイズに完璧に合うエンコーダができあがりました。フレームタイプの中空シャフトモータにもフレームレスサーボキットにも適したソリューションです。ほんとうにすばらしい仕事でした。

TQ-RoboDrive (ドイツ)

課題

近年の協働ロボットはヒューマンスケールで作られる傾向にあり、モータトルク密度が高く、コンパクトで軽量な電動関節が必要となる。

荷物をつかんでいるロボットが、そこから荷物を持ち上げると、モータに流れる電流が大幅に上がる。結果、トルクの過負荷状態 (オーバートルク) が生じるおそれがある。

大きめのモータ (500g 以上) なら、過負荷時に生じる過剰な熱を支障なく吸収できるが、軽いモータでは焼き付くリスクがある。TQ-RoboDrive のモータは、業界のベンチマークである、定格負荷の 3 倍に 30 秒間耐えられるよう設計されている。

TQ-RoboDrive 製のモータは軽量で高いトルクを発揮するモータである。外骨格ロボットや協働ロボットにはこの軽量さと高トルクが重要であり、この両立 (高トルク密度) こそ、TQ-RoboDrive と他社の違いである。

TQ-RoboDrive は、ロボット向けに開発した超軽量フレームレスモータ用に、高精度な磁気式エンコーダを探していた。当時市場にはなかった、新たな小型アブソリュートエンコーダが必要だった。

TQ-RoboDrive の Head of Industrial Drives を務める Ulrich Kerber 氏は以下のように説明する。

「ロボット業界の近い将来を考えたとき、思い当たったひとつが、ロボットの小型化が進むというものでした。すでに小型のモータ (ILM25、ILM38) はありましたが、エンコーダのようなコンポーネントで適したものがなかなか見つからず、RLS さんとレニショーさんにコンタクトをとりました。最大径 5mm のシャフトを通すことができる外径 28mm 以下のエンコーダが必要なんです、と」

解決策

TQ-RoboDrive から RLS とレニショーに打診があった。RLS から TQ-RoboDrive へはすでに、他のモータ用に AksIM エンコーダを供給しており、必要なリング径に合わせた AksIM の新しいバージョンを設計、製造することを提案した。

「RLS さんとレニショーさんは、簡単ではないと認識していました。ですが同時に、非常に前向きに取り組んでくれました」(Kerber 氏)

求められる条件を満たすために、動作温度範囲の拡張、漂遊磁場への耐性強化、セットアップの簡易化といった改良が既存の AksIM に対して行われた。

対象のモータは、ステータ、ロータ、安全ブレーキ、エンコーダといったコンポーネントからなり、すべてのコンポーネントがコンパクトなハウジング内に収納されている。エンコーダはモータの後部に配置され、コンポーネントの径はばらばらである。

そこで重要なのが組付けの順番である。安全ブレーキから漂遊磁場が広がるため、エンコーダをブレーキの背後に配置し、リングをシールドする必要がある。

「最終的に、ILM25 と ILM38 のサイズに完璧に合うエンコーダができあがりました。フレームタイプの中空シャフトモータにもフレームレスサーボキットにも適したソリューションです。ほんとうにすばらしい仕事でした」(Kerber 氏)

結果

レニショーと RLS は協力して、ロボット向け高トルク密度サーボモータなど、TQ-RoboDrive のラインナップ拡大に貢献している。また顧客側にも、TQ-RoboDrive と RLS やレニショーといったサプライヤ間の連携が強化されることには、問題の早期解決、技術サポートの向上、カスタマーサービスの向上、といったメリットが期待できる。

Ulrich Kerber 氏は、ロボット業界における連携とパートナーシップの重要性について説明する。

「協働ロボット界は依然として比較的小さいものの、年々大きく成長しています。この業界では、手を組んで新しいトレンドを生み出し、大きな課題に立ち向かうために、サプライヤと顧客間での持続的な対話が欠かせないと考えています。信頼できるエンコーダパートナーがいることは非常に重要です。市場には選択肢があふれていて、その中で当社のモータに最適な技術を見つける必要がありました。RLS さんとレニショーさんは、誰もが知る実績のある製品を持つ、市場でのキープレイヤーです。そんな両社とパートナーシップを築けるのもメリットのひとつです。必要に応じて RLS さんとレニショーさんに連絡できるので、トラブルの解決も非常に簡単になります」

  • TQ-RoboDrive servo kit
左から順に: ロータ、ステータ、安全ブレーキ (TQ-RoboDrive フレームレス ILM サーボキット)

TQ-Group について

Detlef Schneider 氏と Rudiger Stahl 氏によって 1994 年に設立された企業で、幅広い分野にエレクトロニクス関連のソリューションを提供し、製品ライフサイクルのあらゆる段階で企業を支援している。また、製造サービス (E2MS) の提供も行っており、数々のイノベーションやデザインに関する賞を受賞している。

TQ-RoboDrive の原点はドイツ航空宇宙センター (DLR) の Institute for Robotics and Mechatronics にある。DLR の研究者たちが、出力密度とトルクの高さとコンパクトさと軽量さを兼ね備えた新しいフレームレスモータを開発した。

このモータは同時に、速度の安定性と放熱性に優れ、動的応答性も高く、ロボットに理想的である。TQ-RoboDrive が今日提供するモータは、協働ロボット、医療、航空宇宙装置、機械加工、レーザー、光学装置といった分野で活躍している。

AksIM™ 磁気式アブソリュートエンコーダを組み込んだ TQ-RoboDrive の中空シャフトサーボモータ

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  • ケーススタディ:  ロボットの進化に貢献する RLS とレニショー