NC ロータリーテーブルを高精度化
松本機械工業株式会社の NC ロータリーテーブルは、長尺ワークの加工等で汎用性が高く、周辺機器(油圧チャック・ロータリージョイント等)の装着が容易であるという特徴を持っており、3 点のローラベアリングによる主軸構成により高い剛性を有している。また、ドイツ OTT 社が開発したウォームホイール & ウォームシャフトを採用しているため、バックラッシュがほぼゼロに近い。OTT ウォーム & ホイールギアは噛み合い歯数が多く、特殊歯形で巾広い面接触であることから、歯の面圧が小さく耐久性に優れているため精度を長時間維持できる。また、回転させながらの加工(コンタリング)性能にも優れている。
課題
割り出し角度位置決め誤差は機械の組付け不良、衝突および摩耗が原因で引き起こされている。これらを原因とする位置決め誤差により、製作されるパーツに深刻な精度不良が発生する可能性がある。そのために高品質なエンコーダを組み込んだ上で、最終検査方法の確立が必要である。
解決策
松本機械工業は狭いスペースでも取り付けられるレニショー製非接触光学式エンコーダ TONiC を採用した。TONiC は大きなセットアップ公差を備えているため、短時間で簡単に取り付けられる。TONiC の優れた動的信号処理により平均周期誤差が±30nm 未満という優れた信号の安定性が確保されているため、優れたモーションコントロール性能が得られる。ステンレススチールリング RESM は、円周に 20μm のスケール目盛りを直接刻み、INTRAC™ オプティカルリファレンスマークを組み込んでいる。また、さまざまなサイズ (外径 52~550mm) に対応している。
上記 TONiC に加え、松本機械工業は出荷検査時の割り出し角度計測用に XR20-W を採用した。XR20-W 回転軸割り出し角度測定装置にはレニショーで開発した独自のベアリングとエンコーダ技術に加えて、Bluetooth® 通信が搭載されている。レニショーはこの設計により、ユニットのサイズと重量を大幅に低減した。また、メインユニットと共に提供される各種アダプタにより、各種のロータリーテーブルや旋盤のチャック、スピンドルなどに取り付けることができる。
結果
汚れや傷、指紋などに対して高い耐性と高い追従性を有する TONiC は、厳しい条件のアプリケーションに使用するために理想的である。多くのアプリケーションで要求される高いスキャニング性能に必要な速度制御と位置決めの安定性が、このコンパクトなリードヘッドですべて得られる。
測定の自動化および簡単で素早いセットアップを実現する XR20-W 回転軸割り出し角度測定装置を導入した結果、計測にかかる時間を従来のオートコリメータ方式に比べて約半分の時間に短縮できた。また、任意の角度での計測が可能なため、0.001° ごとの計測を行うことによりウォームギア駆動テーブルの微細送り時の追従性評価が可能となり、ロストモーションやギア効率の評価が可能になった。さらに、高精度な割り出し角度計測の簡素化の自動化に加え、ISO に準拠した解析まで実現した。
松本機械工業について
松本機械工業は工作機械の周辺機器メーカーとして 1948 年に創業した。それ以来、旋盤用チャックや NC ロータリーテーブルの開発および製造を行っている。また、1980 年代からアメリカ、フランス、ドイツ、スウェーデン等の現地の会社と共同開発を行うことにより、常に最先端の技術で業界をリードしている。2015 年には電気式チャックを開発し、いしかわエコデザイン賞を受賞している。NC ロータリーテーブルは特に放電加工用の防水・防油仕様に強みをもっている。ワークを「つかむ」「ささえる」「まわす」技術に磨きをかけ、精密油圧チャックや NC ロータリーテーブルといった工作機械の周辺機器を開発・製造し、お客様の要望に応える新たな価値づくりを続けている。