光学式エンコーダの用語集
よく使用される光学エンコーダの技術用語の定義
アッベ誤差
アッベ誤差とは、回転軸の角度誤差が軸からの距離により増加する誤差のメカニズムです。
アブソリュート
絶対位置はそれ自体で完結したもので、他の位置や値に関係なく定義されます。アブソリュートエンコーダには、真のアブソリュートエンコーダ、擬似アブソリュートエンコーダ、バッテリ式アブソリュートエンコーダの 3 タイプがあります。
真のアブソリュート
電源を ON した時点から位置を確認できます
バッテリによるバックアップが不要です
移動が不要です
擬似アブソリュート
「ディスタンスコード式」とも呼ばれます。
絶対位置を確認するために、エンコーダを短距離にわたって動かす必要があります。
エンコーダスケールには一定の間隔でリファレンスマークが配置されています。リードヘッドがリファレンスマークから隣接するリファレンスマークに移動すると、コントローラがこれらのリファレンスマークの間隔から絶対位置を計算できます。
バッテリ式アブソリュート
基本的には、リファレンスマーク機能を備えたインクリメンタルエンコーダですが、この方式のアブソリュートエンコーダは、ホストシステムの電源が入っていない場合でも、バッテリを使用して、常に電源と読取り位置を維持しているため、絶対位置が失われることがありません。
精度
測定位置がどの程度真の値に近いかを表します。
分解能や繰り返し精度と区別する必要があります。
ACI
最大 2000 の内挿分割数を備えた ATOM 用のデジタルインターフェースです。
AGC
オートゲインコントロール。安定した 1Vpp の信号振幅を確保するための信号処理機能。
アラーム信号
インクリメンタルエンコーダでは、望ましくない状況が発生したときに、この信号が出力されます。各リードヘッドに使用できる各種アラーム信号については、データシートに記載しています。
アラーム信号が発生する状況の例としては下記があります。
- 低信号 (すべてのリードヘッドで低信号エラーが出ます)
- 高信号
- 過速度
- 過剰リサジュオフセット
アラームはライン駆動 (シングルエンドまたはディファレンシャル) かトライステートにできます。
RESOLUTE の場合、絶対位置を正確に判断できない場合にアラームを出力します。
アナログ
常に変化する物理量。
エンコーダの分野において「アナログ」という言葉は通常、サーボドライバかコントローラで内挿分割された 1Vpp 信号か 11µA 信号を指します。
角度測定
角度の測定のことで、
リングスケールやディスクスケールなどのエンコーダスケールを使用して行えます。部分円弧測定はドラムやシャフトの周囲にリニアテープを巻き付けることで行えます。
角度分解能
角度計測単位で表したエンコーダの分解能。
例えば、200mm リングの位置決め分解能 1nm は、0.0020625arc 秒に相当します。
角度分解能には次の単位がよく使用されます。
- °
- arc 秒
- arc 分
- マイクロラジアン
- グラード (1 グラディアン = 1 回転の 1/400 = 1°の 9/10)
- ミル (1 ミル = 1 回転の 1/6400)
角度位置決め用エンコーダ
角度測定に使用するエンコーダ。「角度エンコーダ」や「ロータリエンコーダ」とも呼ばれます。
「ロータリエンコーダ」は、角度を測定するすべてのエンコーダを指します。
AOC
オートオフセットコントロール。出力するサインおよびコサイン信号のオフセットを個別に調整する信号処理機能。
arc 秒
1arc 秒は 1°の 1/3600 です。
従って:
1°= 60arc 分 = 3600arc 秒、です。
ATOM™ オープンタイプインクリメンタルエンコーダ
汚れに対する高い耐性、信号安定性、信頼性を兼ね備えたレニショーの超小型の光学式インクリメンタルエンコーダシリーズ。ATOM は、TONiC™ エンコーダシリーズにも使用されているオートゲインコントロールおよびオートオフセットコントロールにオプティカルフィルター機構を組み合わせた世界初の超小型エンコーダで、優れた測定性能とクラス最高の精度を備えています。
ATOM リードヘッドの最高速度は 20m/s、最高分解能は 1nm です。ステンレススチールおよびガラスリニアスケール、直径 17mm~108mm の RCDM ガラスロータリディスクを使用できます。いずれも 40µm と 20µm のピッチ、どちらのタイプにも対応しています。
ATOM DX™ オープンタイプインクリメンタルエンコーダ
ATOM DX は、デジタル信号をリードヘッドから出力する、レニショー最小の光学式インクリメンタルエンコーダです。位置フィードバック、内挿分割処理、オプティカルフィルタ機構を、超小型パッケージに実装しています。
また、アクセサリの高度診断ツール ADTi-100 とソフトウェア ADT View にも対応しています。これらのツールから詳細な診断情報を取得して、エンコーダの取付け状態を最適化したり、現場でのトラブルシューティング時に診断したりして、非常に要件が厳しいモーションコントロールでもその要件を満足させられます。
最高分解能は 2.5nm で、多種多様な構成に対応可能です。
ATOM DX にはケーブルタイプと上面接続タイプがあり、20µm または 40µm ピッチのスケールと使用します。
ボックスサイズ
ボックスサイズは、ディスタンスコード式リファレンスマーク間の間隔を定義するものです。
ディスタンスコード式リファレンスマークにはさまざまなものがありますが、最も一般的なものは「ボックス方法」と呼ばれています。ボックス方法では、周期リファレンスマークを固定した距離に配置し (これによりボックスを形成)、3 番目のリファレンスマークをその間の一定の距離に配置します。
キャリブレーション
1) 測定システムの精度を算出、確認および修正すること。
エンコーダ用語では、エンコーダの示す位置と、レーザー、ゲージ、その他の手段で測定した位置を比較することを意味します。
2) インクリメンタル信号のレベルとリファレンスマークの位相調整を TONiC、ATOM エンコーダに設定すること。
CENTRUM™
レニショーのロータリ (角度位置決め用) ステンレススチールディスクスケールです。型名としては以下のものがあります。
- CSF40: インクリメンタル、自動芯出し機能、簡単取付け、ATOM DX リードヘッド用
クロック周波数
一般的に、受信側機器 (通常はドライバかコントローラ) の入力のクロック周波数を指します。
受信側機器は、各クロック周期でラインレシーバの状態の変化を確認します。状態が変化した場合には、それに応じてカウントを増減します。
エンコーダの出力が受信側機器のクロックより速い場合は、1 サイクルで 2 回状態の変化が起こることがあり、矩形波デコーダで混乱が発生します。
場合によっては、入力にデジタルフィルタが適用されます。これにより、ノイズを除外できますが、受信側機器の実効クロック周波数も低減します。
クロック出力
TONiC、ATOM、および高分解能バージョンの RG2/RG4 はすべてクロック式のデジタル出力を使用しています。そのため、インターポレータがクロック周期ごとに一度リサジュをチェックして、必要に応じてデジタル出力の状態を変更します。
クロック周波数にはさまざまな種類があります。レニショーのデータシートに、ケーブルのスルーやライン受信機の補正量など、受信側機器のクロック周波数に対する推奨事項を記載しています。例えば、クロック出力 20MHz の TONiC インターフェースの場合、実際の内部クロックは約 16MHz になります。
なお、クロック出力はリタイミングとは異なります。
クロック速度
「クロック周波数」と同じです。
基板型リードヘッド
基板型リードヘッドは、OEM 製品内に組み込むために設計されています。完全密閉された通常のリードヘッドに比べて、ケースとインターフェース回路が大幅に簡素化されている点が特徴です。基板型リードヘッドの場合は、通常シールドの追加などのアプリケーションエンジニアリングをユーザーが行う必要があります。また、多くの場合、内挿分割が外部で行われます。
基板型リードヘッドの例としては、RGH34 や RoLin があります。
コントローラ
移動と動作を制御する機械の「頭脳」です。
コントローラには、さまざまな種類があります。多目的のコントローラが多い一方で、特定タスク専用のコントローラもあります。
例えば、CNC コントローラは工作機械用に最適化されています。多くのコントローラには、機械性能を向上するための複雑なアルゴリズムが組み込まれています。
Delta Tau 社の UMAC などのモジュラシステムは、アクセサリカードを追加して機能を拡張して、ユーザーのニーズを的確に満たすコントローラできます。
「コントローラ」というは一般的な用語として多用されていますが、サーボアンプ (ドライバ) を指す言葉として誤用されている場合もあります。
熱膨張率
熱膨張率は、温度上昇につれて材質が線方向に膨張する程度を表しています。熱膨張率は一般的に µm/m/℃または ppm/°K という単位で表現します。
なお、熱膨張率は実際には複雑です。例えば、温度によって熱膨張率が異なる材質の場合は、20℃前後の限定した温度範囲における数値を通常示しています。
基準
「基準」という語は、さまざまなものを指します。
- リファレンスマーク
- 機材と熱膨張率が異なるスケール (RTLC など) を機材に取り付けた位置
- スケール上や機械上に定義された原点
- キャリブレーションの標準
デジタル
ハイかローという 2 種類の状態しかない信号または情報。
エンコーダで「デジタル」と言った場合には、通常デジタルエンコーダの出力を指します。レニショーのエンコーダ用データシートに解説されているように、これらの信号は矩形波になっています。
デジタル信号の受信時に信号障害が排除されることを理由に、デジタル信号よりもデジタル信号の方がノイズに対する耐性が高いと考えられてもいます。一方で、アナログ信号は周波数が低いために、多くのフィルタリングを適用できると考えられてもいます。
いずれにしても、デジタルエンコーダには、速度と分解能の間で兼ね合いを図る必要があるという欠点があります。
汚れに対する耐性
汚れや異物に隠れた部分を継続して読み取るエンコーダの能力。
汚れに対する耐性は、オートゲインコントロールを搭載した電子部品と光学機構という、2 点により決まります。
レニショーのインクリメンタルエンコーダに採用されているオプティカルフィルタ機構は、スケール周期に相当する 1 回の周期のみを読み取るようにチューニングされています。汚れや異物の周期は常にスケール周期と異なるため、エンコーダによって拒否されます。ここで重要なのは、リサジュ信号が異物によってオフセットされないことです。
オートゲインコントロールは信号を電子的に増減して、できるだけ一貫したリサジュが得られるようにします。
ディスタンスコード式
ディスタンスコード式リファレンスマークは、エンコーダスケール上に一定の間隔で配置されます。リードヘッドがリファレンスマークから隣接するリファレンスマークに移動すると、コントローラがこれらのリファレンスマークの間隔から絶対位置を計算できます。
電気接続
電気接続とは、エンコーダを受信側機器に接続することです。電源、アース/シールド、信号などの要素も接続します。
接続の際には、エンコーダの出力が受信側機器の入力に対応していることを確認する必要があります。
エンコーダの問題を引き起こす最も一般的な原因は、アース/シールドの誤接続です。0V とアースの間に短絡または過剰なノイズが発生すると、ノイズの問題、ミスカウントやリファレンスマークの誤検出につながります。
さらに、エンコーダに電源を供給するために十分な電流容量があることを確認することが重要です。ケーブルの電圧降下も必ず確認するようにしてください。
電気ノイズに対する耐性
電気ノイズの多い環境でエンコーダが動作を続ける能力。
エンコーダにはさまざまな電気ノイズが発生することがあります。
- ケーブルやリードヘッドには、電磁波障害が発生することがあります
- 5V 電源にはよくノイズが発生します
- 機械のアースにもノイズが発生することがあります
エンコーダの電気設計を慎重に構築することで、これらの原因から発生する好ましくないノイズを排除できます。
EMI 環境
EMI とは電磁波障害 (Electro-Magnetic Interference) のことです。
エンコーダの周辺領域に発生する干渉 (ノイズ) のことです。
EMI ノイズの一般的な発生原因は下記のとおりです。
- モータケーブル内の電流の高速切り替え
- 接続不良によるスパークの発生
- 適切にシールドされていないスイッチまたは接触器
- アースの接続不良または障害のある電源
- 機械の周囲で行われている溶接、放電加工、その他の騒音を発生する作業
クローズドタイプ光学式エンコーダ
クローズドタイプ光学式エンコーダは、電子部品と光学部品を、リードヘッド本体に取り付けた密封ユニットに格納しています。そしてその密封ユニットとエンコーダスケールの両方を、密封した筐体で保護しています。このような設計により、液体や切り粉の侵入に対して高い耐性を発揮します。
エンコーダ
一般的には、「エンコーダ」とは、データをある形式から別の形式に変換するデバイスまたはプロセスを指します。
位置検出におけるエンコーダとは、位置を測定してから、その情報を適切な形式でデバイスやコントローラに渡すデバイスを指します。
EVOLUTE™ オープンタイプアブソリュートエンコーダ
EVOLUTE シリーズはスケールピッチ 50µm に対応した、真のアブソリュート非接触光学式エンコーダで、広い取付け公差と汚れに対する高い耐性を備えています。最高水準の運用上の信頼性だけでなく、短時間での取付けが求められる用途に最適です。最高 50nm の分解能、最先端の光学設計による周期誤差とジッタの低さ、さらに高速信号処理性能を備えた EVOLUTE は、OEM の厳しい要件でも満たせるような性能を発揮します。
FASTRACK™
FASTRACK は、RTLC や RTLA スケールに使用する特許取得のスケール取付け用ガイドシステムです。
多くのガイドシステムとは異なり、FASTRACK は硬度の高いステンレススチールから製造されているため、柔らかいアルミニウム押出成形品よりも、事故的な損傷を受ける可能性が大幅に低くなっています。さらに、FASTRACK は短時間で簡単に取り付けられます。
ガイドシステムを使用することによるメリットは下記のとおりです。
- 現場で簡単にスケールを交換できます
- トラックや機材と異なる熱膨張率でスケールが拡張/収縮できます
- 輸送時には、大型の機械から一時的に長いスケールを取り外せます
フィルタリング
フィルタリングとは、一定の周波数の信号、振動、放射線を除外しながら、他の周波数のものを検出することです。
ポジションエンコーダでは、次の目的にフィルタリングがよく使用されています。
- オプティカルフィルタ機構はスケール周期以外の周波数を拒否します
- 電気信号をフィルタリングすることで、ノイズを排除しジッタを低減できます
- 電源をフィルタリングすることで、ノイズ成分を排除し、高い信頼性と一貫性でシステムを動作させられます
フライングリード
ワイヤの末端を処理しない未終端の状態で納品されるケーブル。任意のコネクタを簡単に接続できます。
FORTiS™ クローズドタイプ光学式エンコーダ
FORTiS は、高精度なフィードバックおよび測定が求められる、過酷な加工環境で高い堅牢性を発揮するクローズドタイプ光学式エンコーダです。異物を侵入させないよう密封されたリードヘッドが、高精度目盛りが刻まれたステンレススチールスケールを基準にした動作を位置データに変換します。特徴:
- アブソリュート測定技術: 高精度、高信頼性、実績あり
- 非接触式設計: 低ヒステリシスとゼロ機械摩耗
- 優れた密封構造: 油や切り粉に対しての高い保護
- 高い振動耐性: 高性能かつ長寿命
- 特許取得済み LED: 簡単かつミスなく取付け可能
- 追加セットアップやトラブルシューティングに使える高度診断ツール ADTa-100 に対応しています。
FPC
フレキシブルプリント基板 (Flexible Printed Circuit) のことです。
FPC ケーブルは、押し込み力ゼロの小型コネクタに使用する平坦でフレキシブルなケーブルです。FPC ケーブルは屈曲力が非常に低いものの、標準ケーブルよりも屈曲寿命が大幅に短いため、通常の動的要件には推奨できません。シールド付きの FPC ケーブルもあります。
FPD
フラットパネルディスプレイ (Flat Panel Display) のことです。
アース
機械をアースに接続すること。「接地」とも呼ばれます。
エンコーダの電気接続では、アースが重要な要素です。エンコーダの問題の最も一般的な原因のひとつとして、0V とアースの間の短絡やノイズなど、アースの接続不良が挙げられます。
ヒステリシス
ヒステリシスとは、応答を発生させるような入力の変化後に発生する、応答の時間遅延です。
エンコーダ使用時のヒステリシスとして、次のような例が考えられます。
- スケールが機材にトラックシステムを使って固定されている場合、機材の熱膨張および収縮に応じて、スケールが機材とは独立して熱膨張しトラックシステムと摩擦を起こすことで、スケール端の位置がわずかに変化します。
- リードヘッド内に電気ヒステリシスが存在することで、示された位置が、前進および後退方向の少しずれた場所になることがあります。
- 後退方向で密閉式エンコーダがわずかなドウェルが発生することがあります。これは「反転偏差」と呼ばれます。
インクリメンタル
絶対位置はそれ自体で完結したもので、他の位置や値に関係なく定義されます。アブソリュートエンコーダには、真のアブソリュートエンコーダ、擬似アブソリュートエンコーダ、バッテリ式アブソリュートエンコーダの 3 タイプがあります。
インクリメンタルエンコーダとは、相対的な移動のみを示す信号を出力するエンコーダです。軸の絶対位置は、ドライバまたはコントローラが、リファレンスマークの信号などの既知のリファレンス位置とこの相対位置を組み合わせることでのみ、算出されます。
インクリメンタルエンコーダは、電源 ON 時に絶対位置を判断できません。絶対位置を計算する前に、リファレンスマークを読み取る必要があります。インクリメンタル位置信号は両方向にカウントでき、それに応じて位置情報を増減して位置を判断します。
業界標準
業界標準とは、業界で一般的に使用される特定の仕様を指します。
例えば、確立されている業界標準の電圧駆動のアナログ信号は 1Vpp です。デジタル信号は、RS422 に準拠する必要があります。
なお、業界標準は仕様を指していますが、品質を定義しているわけではありません。信号サイズの業界標準を満たすエンコーダが 2 種類ある場合でも、片方が他方よりも大幅に優れた性能を発揮する場合があることが考えられます。
インターフェース
信号の処理やその他の操作を実行する電子デバイスです。
BiSS® C や Siemens DRIVE-CLiQ® などのシリアル通信プロトコルは、2 個のパーツを接続する「インターフェース」と頻繁に呼ばれます。
インターポレータ
アナログ信号をデジタル信号に変換するデバイス。
ポジションエンコーダでは、インターポレータは通常、インクリメンタルエンコーダからのサインとコサインのアナログ信号をデジタル信号に変換するために使用されます。
さまざまな種類のインターポレータが市販されており、幅広い内挿分割品質や速度が網羅されています。
IN-TRAC™
IN-TRAC とはレニショースケールのオプティカルリファレンスマークに付けられた名称で、このマークはインクリメンタルスケールの目盛り (スケールマーク) に刻み込まれています。
インクリメンタルスケールの目盛りに沿って配置されたリファレンスマークに比べて、IN-TRAC リファレンスマークは、ヨーの位相不良に対する大幅に高い耐性を備えています。
INVAR®
INVAR とは、約 1.2ppm/℃という非常に低い熱膨張率を持つニッケルと鉄の合金です。
レニショーは、ZeroMet™ と呼ばれる合金製のエンコーダスケールを提供しています。ZeroMet も INVAR 一種で、特に優れた安定性を備えていることから、エンコーダの材質として特別に選択されています。
IP 保護等級
IP 規格、または国際保護等級とも呼ばれています。電子機器の筐体の密閉性を定義するものです。
IP 保護等級は 2 桁で表され、1 桁目は塵に対する密閉性を示し、2 桁目は水の浸入に対する密閉性を示します。例えば、IP64 といった場合には、防塵の保護等級は 6、水の浸入に対する保護等級は 4 ということになります。
IP 保護等級は国際規格の IEC 60529 により定義されています。
NEMA は、IEC 規格と同様の保護等級を発表していますが、付番方法が異なるだけでなく、NEMA 規格には耐腐食性とガスケットの経年劣化に関する規定も含まれています。
ジッタ
エンコーダが停止しているときにエンコーダから出力される位置データへのノイズの量。
この値は通常 RMS 単位で表しますが、位置データへのノイズは多くの測定方法があり、測定の帯域幅が特に重要です。
ジッタの低いエンコーダは、位置データの精度が高く、リニアモータで生成される熱量も低くなります。これにより、低速での速度制御がスムーズになります。
LED
発光ダイオード (Light Emitting Diode) のことです。
LED 表示
信号レベル、リファレンスマークの位相、CAL/AGC ステータスと、その他の各種エンコーダステータスや診断信号を表すカラー LED のことです。
リミット
リードヘッドが測定軸の末端に到達したことを示すエンコーダからの出力。
シングルリミットでは、リードヘッドが軸の末端に到達したことを示す信号は 1 個です。ドライバやコントローラでは、どちらの末端に到達したかを区別することができません。
デュアルリミットは、どちらの軸の末端に到達したかに応じて異なる信号を出力します。レニショーのエンコーダでは、これらは軸の P または Q リミットと呼ばれています。
リニア
直線上の動きまたは形状。
リサジュ
サインとコサイン信号の表示方法で、出力が円形で表されます。
エンコーダの出力をこの方法で表示した場合には、信号レベルと信号品質などのエンコーダ動作の各種の特性を簡単に判断できます。
マイクロ
長さの単位。
1 マイクロメーター = 0.001 ミリメーター = 1000 ナノメーター
マイクロメーターの記号は µm です。
MHz
メガヘルツ。周波数の単位。
1MHz = 毎秒 100 万サイクル
ナノメーター
長さの単位。
1 ナノメーター = 0.001 ミクロン = 1000 ピコメートル
1 ナノメーターは炭素原子 10 個とほぼ同じ長さです。
節点ポイント
エンコーダのリードヘッドの位相格子は対物レンズと同じように機能しますが、節点ポイントとは、ヘッドで検出される干渉縞が形成される位置です。スケール (またはリードヘッド) がこのポイントを中心に回転している場合は、フォトディテクタの干渉縞が移動することがありません。
エンコーダのスケールはねじれていたり、平らでない場所に取り付けられていることが多いため、測定誤差につながることがあります。ATOM などのレニショーのエンコーダはスケール表面に節点ポイントがあるため、スケールを傾けても、このような波形誤差が発生しません。
他の多くのタイプのリードヘッドでは、スケールが位相格子として機能し、節点ポイントがスケール表面上になっています。このような場合には、スケールの波形によりフォトディテクタで干渉縞が移動することで、位置決め信号が不正確になることがあります。
ノイズ
回路内の望ましくない電気障害で、これにより信号内の有益な情報が損なわれます。
命名法
パーツの付番体系。名前の構造です。
非接触式
リードヘッドとスケール間の接触がないエンコーダのタイプ。一部のメーカーでは露出型と呼んでいます。
オープンタイプ光学式エンコーダ
光学式エンコーダとは、直線軸の直線的な変位または入力軸の角度位置に比例した電気信号を出力する電子機器です。
出力
動作中にエンコーダのリードヘッドにより出される信号。
パーシャルアーク
RKL シリーズはパーシャルアーク用です。薄くて曲げやすいため、半径 26mm 以上の円筒形状やシャフト、円弧に巻きつけられます。
インクリメンタルタイプとアブソリュートタイプの両方があります。
PCB
プリント基板 (Printed Circuit Board) のことです。
ピッチ
エンコーダスケール上で隣接するマーク間の距離。20µm ピッチのスケールは通常、10µm の幅の濃い線と、10µm の幅の明るい線から構成されます。
スケール周期とも呼ばれます。
PRECISION
See repeatability.
QUANTiC™ オープンタイプインクリメンタルエンコーダ
QUANTiC エンコーダシステムは、レニショーのオプティカルフィルタ機構設計と内挿分割技術を統合した、コンパクトで耐環境性の高い、オープンタイプの光学式インクリメンタルエンコーダです。取付け公差が広いため使いやすく、またキャリブレーションすることで、公差をさらに広くできます。
QUANTiC リードヘッドにはデジタル出力バージョンとアナログ出力バージョンとがあります。いずれも、リニアシステム仕様とロータリシステム仕様をご用意しています。また、モーションコントロールのニーズが最も厳しい場合でも、最高 24m/s の速度を達成できます。
さらに、取付け中や現場での診断およびトラブルシューティングに 高度診断ツール ADTi-100 および ADT View を使用することで、詳細な診断情報を取得できます。
リードヘッド
リードヘッドは、光学式、磁気式、インダクティブ式、容量性の方法を使用してスケールの位置情報を読み取って変換し、電気信号により位置データを出力します。
REE
エンコーダの 1Vpp アナログ信号を入力として取り込み、デジタル信号を出力するレニショーのインターポレータボックス。
リファレンスマーク
軸上の基準位置。
また、リファレンスマークは、下記を表すことがあります。
- リファレンスマーク磁石や IN-TRAC™ オプティカル機能などの物理的リファレンスマークアクチュエータ。
- リードヘッド/インターフェースからのリファレンスマーク出力信号。
REL
レニショーの低膨張率の高精度スケールシリーズ。
素材は、高い安定性を持つ INVAR の一種で、ZeroMet と呼ばれる低熱膨張率のニッケルと鉄の合金です。
下記の種類があります。
- RELM: 中央にリファレンスマークを配置したスケール
- RELE: 末端にリファレンスマークを配置したスケール
- RELA: 絶対位置コードが刻まれたスケール
信頼性
長時間にわたって使用するうえで、正常な機能を継続するエンコーダの能力。
信頼性の測定指標として下記があります。
- MTTF: 平均故障寿命
- MTTFd: 平均危険側故障寿命
- MTBF: 平均故障間隔
信頼性という用語は、エンコーダの耐用年数にわたる汚れやその他の望ましくない状況に対する耐性を表現するためにも使用されることがあります。
繰り返し精度
軸上の特定ポイントに到達するたびに、同じ位置を出力するエンコーダの能力。
再現性、ばらつき、精度とも呼ばれることがあります。
再現性
繰り返し精度を参照してください。
RESOLUTE™ オープンタイプアブソリュートエンコーダ
レニショーのシングルトラック、オープンタイプの真のアブソリュート光学式エンコーダ。
分解能
エンコーダにより出力される最小測定ステップ。エンコーダが出力を 1 カウント変更するために移動する必要がある最小距離です。
分解能は精度や繰り返し精度と混同されることがあります。分解能はエンコーダのノイズレベルよりも低くなることがあります。
RGSZ
レニショー製ゴールドスケール。任意で選択できる、IN-TRAC™ リファレンスマークが刻まれています。リール巻きでの提供のため、適宜切断して使用できます。最大軸長は 50m です。両面テープで取り付けるもので、これにより取り付けた機材と同じ熱膨張率になるため、熱補正を簡素化できます。
新規設計には推奨しません。取付け高さ
取付け高さとは、エンコーダスケールとリードヘッドの下側の間の距離です。
取付け高さの公差は、リードヘッドで対応できるその距離の公差です。
リング
リング形状のロータリスケール。通常は、目盛りがリングの外周に刻み込まれています。レニショーのリングスケールには、RESR、RESM、RESA、REXM、REXA があります。磁気式のリングスケールもあります。
リップル
電源の電圧リップルは、5V 電源におけるノイズレベルです。
速度リップルは、軸を一定速度で駆動する際の軸の速度変化を表すものです。
RKL
スリム、薄型のステンレススチールテープスケールです。下記の種類があります。
- RKLC-S: スチールテープ、インクリメンタル、IN-TRAC リファレンスマーク、両面テープ式
ロール
長手方向の軸を中心とした回転。
ロータリ
円運動の動き。
エンコーダの分野では、ロータリエンコーダは回転移動を測定します。
ロータリエンコーダは角度を測定するエンコーダの総称で、「角度エンコーダ」とも呼ばれます。
RSL
レニショーの高精度ステンレススチールスケールシリーズ。このシリーズには下記モデルがあります。
- RSLM: 中央にリファレンスマークを配置したスチールスケール
- RSLE: 端にリファレンスマークを配置したスチールスケール
- RSLC: ユーザーが位置を選択できるリファレンスマークを備えたスチールスケール
- RSLR: リファレンスマークがないスチールスケール
- RSLA: 絶対位置コードが刻まれたスチールスケール
RTL
レニショーのステンレススチールテープスケールシリーズ。このシリーズには下記モデルがあります。
- RTLC: スチールテープ、インクリメンタル、IN-TRAC™ リファレンスマーク
- RTLC-S: スチールテープ、インクリメンタル、IN-TRAC™ リファレンスマーク、両面テープ式
- RTLA: スチールテープ、絶対位置コード
- RTLA-S: スチールテープ、絶対位置コード、両面テープ式
ばらつき
繰り返し精度を参照してください。
周期誤差
ひとつの信号周期内の測定誤差。
この誤差は、エンコーダ出力信号のリサジュの形状またはセンタリングが不完全であることが原因で発生します。
周期誤差はリニアモータや DDR モータの軸で速度リップルの問題を引き起こすことがあります。周期誤差が大きいと、耳に聞こえるようなノイズが軸に発生して、高温になることがあります。周期誤差が大きい場合は、工作機械で仕上げ面の質が低下し、スキャニング機ではイメージがぶれることがあります。
TONiC および ATOM には周期誤差を低減する処理回路が搭載されています。
密閉等級
IP 保護等級を参照してください。
セットアップ LED
リードヘッド (またはエンコーダインターフェース) に取り付けられた LED。現在の信号レベルに加え、リファレンスマークの位相調整などのエンコーダの状態を示します。診断情報をその場で確認できるため、セットアップ用の装置やオシロスコープを別で用意する必要がなくなります。
ほとんどのレニショーエンコーダでは多色のセットアップ LED が採用されており、赤で信号強度不良、オレンジで低下、緑で良好を示します。エンコーダの中には、LED の青点灯により最適または最高の信号レベルを表すものもあります。
シングルトラック
シングルトラックとは、大まかな絶対位置と微細なインクリメンタル位相情報の両方を取得できる 1 本の目盛りです。
従来のアブソリュートエンコーダは、インクリメンタルおよびアブソリュートという 2 本の平行トラックを使用しています。アブソリュートリードヘッドはこれら 2 本のスケールを同時に読み取る必要があるため、ヨー方向に少しでもずれていると、2 点の値の位相がずれ、測定誤差が発生します。
RESOLUTE は、シングルトラックを読み取る世界初のオープンタイプの光学式アブソリュートエンコーダで、ヨー方向の位相ずれに対して高い耐性を備えています。
サイン波
サイン関数に応じて振幅が変化する波形は、サイン波と呼ばれます。
シールド
シールドとは、電磁波障害からエンコーダを保護するものです。
シールドはケーブル内で重要な役割を果たします。レニショーのケーブルには通常ダブルシールドが施されており、2 層の錫メッキ銅縒りシールドがケーブルの芯にそれぞれ反対方向に向かって巻かれています。外側のスクリーンはファラデーケージのような機能を持ち、両端でアースに接続されます。内側のスクリーンはアンテナのような機能を持ち、受信機器側でのみ 0V に接続されます。
ダブルシールド式ケーブルでは、0V とアース間の短絡がないことを確認することが重要です。
SPAR
A scale type with a thick cross-section.
Renishaw RSLM and RELM are spar scales, for instance.
Ti
TONiC エンコーダシリーズの標準デジタルインターフェース。
熱膨張
熱膨張率を参照してください。
TONiC™ オープンタイプインクリメンタルエンコーダ
レニショーのコンパクトな光学式インクリメンタルエンコーダシリーズで、高性能のモーションコントロールを実現します。このリードヘッドには動的信号処理が組み込まれており、オプティカルリファレンスマークディテクタがインクリメンタル信号センサーに直接内蔵されています。TONiC は優れた S/N 比と汚れに対する高い耐性を備えています。
UHV
超高真空のことです。UHV は通常 10-9Torr 未満の圧力と定義されています。
レニショーでは、UHV 環境で使用するために最適化されたリードヘッドをラインナップしています。これらのリードヘッドはクリーンな材質から製造されており、ガス放出率 (真空室の排気時に放出される化学物質の量) を低減するように設計されています。
速度リップル
モーションコントロールシステムでは、ある時点での指定された速度と実際の速度の偏差が速度リップルと呼ばれています。速度リップルにつながる要因としては、エンコーダの分解能と周期誤差があります。
VIONiC™ オープンタイプインクリメンタルエンコーダ
VIONiC シリーズは、幅広いリニアおよびロータリスケールと使用する、オールインワン形式の超高精度デジタルインクリメンタルエンコーダです。VIONiC リードヘッドの内部には、市場での高い実績を誇るレニショーのオプティカルフィルタ機構と高度内挿分割技術が組み込まれており、±15nm 未満の周期誤差と最高 2.5nm という優れた分解能を実現しています。
また、直感的に使用できる自動キャリブレーションモードが搭載されているため、VIONiC リードヘッドの取付けは簡単です。さらに、高度診断ツール ADTi-100 (アクセサリ) を使用して、取付け時や現場での診断時に、リアルタイムでエンコーダからフィードバックを得られます。
Vpp
電圧のピークピーク値 (電圧波形の最も高い点と最も低い点の電位差)。波形サイズの測定方法のひとつで、波形の正方向の最大振幅から負方向の最小振幅までを測定します。多くのインクリメンタルエンコーダのアナログ出力は、1Vpp と定義されています。
別の基準として、ピーク平均値の測定がありますが、これは周期誤差の描写などに使用します。対称の波形 (正弦や余弦など) では、ピーク平均値がピークピーク値の半分になります。
ヨー
垂直軸を中心とした回転。
ZeroMet™
特に優れた安定性を備えているという理由で特別に選択された INVAR (熱膨張率の低い、ニッケルと鉄の合金) の一種。レニショーでは、ZeroMet 製の熱膨張率の低いスケールを用意しています。