高精度 MT コネクタ検査装置にレーザーエンコーダを搭載して測定の高精度化を実現
高精度 MT コネクタ検査装置は、特殊光学系と高解像度カメラで撮像した画像に独自アルゴリズム画像処理で再現性を高め、移動量はレーザーエンコーダの搭載により値の信頼性を高め PC による XYZ 自動ステージ、照明光量を制御して高精度に寸法測定を行うと共に規格値を設定して検査を行う装置です。
課題
YGN-590-MT は、本体部と制御部で構成されています。本体部は架台、測定本体、XYZ 自動ステージ・ワーク搭載部、観察照明部のユニットで構成され、制御部は PC 部、PC ラック、ドライバーボックス、レーザー干渉計で構成され PC をホストにしたシステムを構築しています。本体部の架台はエアー連続供給式のオートレベリングと除振機能付で安定した姿勢を保ち、その載物面に測定本体を載せて運転します。測定本体はベースに石定盤を使用し剛性強化と振動を減衰する事で安定した測定を支えます。ベース上に XYZ 自動ステージ、分解能 0.01μm のレーザーエンコーダ、顕微鏡、透過照明ユニットが搭載されて測定本体部を覆うカバーにより自動運転時に上部からの侵入を防ぎます。XYZ 自動ステージの各軸の移動量は X 軸 100mm、Y 軸 4mm、Z 軸 4mm が標準仕様です。駆動はエンコーダ付モーターを使用し、駆動と移動の相関がより高まります。各ステージは独立構造体にあり ZYXの順に積載し最上部の X 軸にはレーザーエンコーダのミラーが2 枚設置されて移動量の検出、移動時の上下変位量及び、Z 軸移動の検出を行います。しかし、そのレーザーエンコーダの測定安定性が悪く、装置のアライメント調整に苦労して精度向上が困難な状況でした。
この装置の測定対象は光通信部品の MT フェルール、MTFFiberAssy、MPO。これらの光通信部品は同形状での高密度化、接続損失を最小限に抑えるために厳しい精度で製作されています。その厳しい要求に応える測定を行える世界でも数少ない装置の 1 台として国内外の光通信部品メーカーから高い評価を得ています。高精度 MT コネクタ検査装置 (YGN-590-MT) (Multiple Core Optical Connector Measurement Inspection Machine) は、多芯光コネクタと導波路ピッチずれ、形状等をレーザーエンコーダと画像処理により高精度に測定します。また、特殊光学系により最適倍率にして測定できます。
解決策
レニショー RLE10 レーザーエンコーダが、この課題を解決しました。革新的な設計の RLE レーザーエンコーダには、様々な原因で発生する誤差を最小限に抑えて最高精度を確保するために、各種の高度技術を採用しています。従来のレーザー干渉計を用いたシステムでは、レーザーヘッド、干渉計、反射鏡、および検出装置が独立していました。ビームスプリッターとベンダーミラーの光路構成は複雑で、レーザー光は独立したこれらの構成部品の間を進むことから、システムが大きく複雑になり、セットアップやアライメント調整と管理が困難で、手間がかかっていました。RLE レーザーエンコーダは光ファイバーを利用して、レーザー光を距離の離れたヘッドユニットに直接配給します。このヘッドユニットには、干渉計光学部品と干渉縞検出装置が内蔵されています。この方式を採用することによって RLE には数々の大きな利点が生まれ、これにより組み込みに要する時間を低減し、システムを簡素化できるようになりました。
エンコーダのピッチと同じように、レーザー干渉計の波長も 分解能に影響を与えます。波長 633nm のレーザーを使用する レニショーレーザー干渉計は、本質的な高分解能性を備えて おり、SDE(内挿分割誤差)を最小限に抑えることができます。
- ガイド穴間を測定します。
- ガイド穴位置間の中心線からフェルール穴間の X 軸(左右方向)のピッチと設計値に対するズレを測定します。
- ガイド穴位置を中心線としてフェルール穴の Y 軸(上下方向)のズレを測定します。
- ガイド穴、フェルール穴の内径を測定します。
結果
これらの特長から、システム安定性が高められただけではなく、調整および設置を容易にすることが可能になり、お客様の高い評価へつながりました。
位置決め精度は、0.1μm から 0.01μm へと一桁向上しました。
柳下技研株式会社について
今日までの 40 年間にわたり、メーカー企業の開発、量産設備の一翼を担い続けて、自動化装置の設計、製作全般を任されてきました。その技術を生かし、自動化設備の開発、設計、制御、製作まで一貫したトータルエンジニアリングを行っています。画像検査装置、検査用汎用装置開発及び製造販売の事業は、お客様からの厳しい精度要求に応える測定を行える世界でも数少ない装置の1台として国内外の光通信部品メーカーから高い評価を得ています。