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新型 ElectroPuls™ リニアトーション試験機にレニショーの高度エンコーダを搭載した Instron®

米国マサチューセッツ州に本拠を置く Instron は、材料試験産業において世界をリードしています。同社は、研究、産業、学術セクター向けの材料試験装置全般の製造と整備を行っています。

RSS 画像: Instron E3000 リニアトーション試験機

 Instron の各種システムは、ジェットエンジンのコンポーネントから医療用注射器にいたるまで、様々なサンプルの試験に利用されています。Instron は最近、ElectroPuls E3000 全電気式試験装置の二軸モデルを発売しました。E3000 は、ロードフレーム、リニア/トーションアクチュエーターを統合したクロスヘッド、Dynacell ロードセル、サンプルを固定するための T スロットテーブルから構成されるコンパクトな卓上機器です。

最新鋭の ElectroPuls シリーズには、E1000、E3000、E10000 の疲労試験システムが用意されています。これらのシステムは、生物医学や生体力学の研究に最適で、広範な動的性能とローフォース特性を備えています。ElectroPuls は全電気式で、リニアモーター技術を活用してボール / 送りネジの必要性を排除し、低速静的試験から 100 Hz 以上の高周波数動的試験までを可能にしています。

新型 E3000 リニアトーション試験機は、E10000 リニアトーションシステムを小型化したもので、標準範囲が ±135°の回転軸に加えて、オプションで整形外科用骨ネジ試験などの用途向けのマルチターン機能が利用できます。ElectroPuls 二軸型リニアトーション試験装置は、ほとんどの材料のリニアトーション試験を行うことができ、人工椎間板、各種バイオマテリアル、スポーツシューズ、エラストマーコンポーネントの試験に応用されています。

回転軸には RESOLUTE リングエンコーダを使用することで、リニアエンコーダを完璧に補うことができます。これにより、以前のベルト駆動式の従来型ロータリーエンコーダよりも優れた分解能や精度を確保し、機械構成を簡素化できました。

Instron (USA)

LVDT にまつわる問題

ElectroPuls システムは、弾性領域で変動荷重または繰返し荷重を受ける材料の挙動を調べる疲労試験用に設計されています。

従来型サーボ油圧試験装置はリニア可変差動トランスフォーマー(LVDT)と呼ばれる一種の電磁誘導式アブソリュートエンコーダを使用して、直線移動方向とアクチュエーターの場所を判断します。リニア同期モーターにより駆動される ElectroPuls は、従来のロータリー設計に比べて減衰が低いリニアモーターを駆動するため、高精度の動的制御を行うために、追加の高品質速度フィードバックが必要になります。LVDT は位置制御に適している一方で、信号安定性が比較的低いため、正確に速度を測定することができません。更に、LVDT はリニアモーター内で形成される磁場の影響を受けやすく、長い軸では非線形性が増加することがあります。

このような用途には、本質的に優れた信号安定性を備え、高い精度を誇る光学式エンコーダが明らかに適しています。そこで Instron では、同社の二軸システムには、原点復帰を行わなくても絶対位置情報を取得できるアブソリュート光学式エンコーダが最適なソリューションであるという結論に達しました。これには、LVDT と共に光学式リニアインクリメンタルエンコーダを使用する以前のサーボメカニズムに比べて、いくつかの利点があります。

Instron では、アブソリュート光学式エンコーダに関して、高信頼性、高精度、BiSS® シリアル通信との互換性、簡単なセットアップと取り付け、そして摩擦 / 磨耗がないためにメカニカルなヒステリシス誤差を排除できる非接触式設計という仕様を求めていました。ElectroPuls コントローラをサポートして、他のすべての条件をクリアできるアブソリュート光学式エンコーダは、1nm の位置決め分解能と 20m/s 以上のスピードを備えたレニショーの RESOLUTE™ のみです。その結果、このように市場をリードする性能を備えた RESOLUTE エンコーダは、E10000 と新型 E3000 試験フレームの両軸に採用されることになりました。

英国の Instron 欧州本部に勤める Instron ElectroPuls の主席機械エンジニアの Graham Mead 氏は、これについて次のように説明しています。「以前はLVDT を使用して、リニアモーターとの通信に必要な絶対位置決めフィードバックを取得していました。それに加えて、光学式インクリメンタルエンコーダを使用して測定を行い、精度を制御していました。しかし、RESOLUTE アブソリュートリニアエンコーダでは、これ一台ですべての機能と精度を確保することができます。更に、アセンブリが簡素化され、パーツ数が減少することで、セットアップがシンプルになり、メンテナンスなしでの運転が可能になります。回転軸には RESOLUTE リングエンコーダを使用することで、リニアエンコーダを完璧に補うことができます。これにより、以前のベルト駆動式の従来型ロータリーエンコーダよりも優れた分解能や精度を確保し、機械構成を簡素化できました。」

高性能ソリューション

E3000 リニアトーション試験装置の Instron Dynacell™ ロードセル。ElectroPuls E3000 リニアトーション試験機には、位置決め軸と回転軸にそれぞれリニアアブソリュートエンコーダとロータリーアブソリュートエンコーダが必要になります。位置決め情報は、RESOLUTE リードヘッドと RTLA テープスケールを使用して、±5µm/m の精度と 5nm の分解能で取得します。角度位置決め情報は、直径 115 mm の RESA リングを読み取る別の RESOLUTE を使用して、0.019 arc 秒という高い分解能と ±2.5 arc 秒の精度で取得します。

RESOLUTE には、機械試験性能を強化する次のような主要機能が搭載されています。

  • 信頼性: エンコーダからのデータは高い信頼性が不可欠になります。多くの場合、サンプルの試験を繰り返すことがができないため、結果を正確に測定することが重要です。誤カウントのような問題は、測定誤差を引き起こし、サンプルの誤判定につながるため、認められません。RESOLUTE は、その他のエンコーダシステムでは誤カウントにつながる汚れ、傷、油汚れなどに対して高い耐久性を有します。また、通常の位置決めに用いるアルゴリズムとは別にそれをチェックするために組み込まれたアルゴリズムを実行することで、問題がコントローラに到達する前に、起こり得る問題に対してアラームを発します。
  • 高分解能と低ノイズ(ジッタ): 硬度の高いサンプルの歪み測定には、高分解能の位置決めエンコーダが必要になります。RMS 10nm 未満とジッタを低く抑えているため、変位に対する感度を向上し、サンプルからより多くの情報を引き出すことができます。
  • 高いシステム精度と高速性:動的材料試験機では、エンコーダの歪みフィードバックかロードセルの応力フィードバックを使用して、動作を正確に制御する必要があります。標準化機構、ASTM International では、試験における最大適応荷重の 2% までの偏差を公差として認めています。更に、より高い精度と優れた動的性能が得られれば、破損時のサンプルの詳細な解析が可能になり、より正確に判定ができるようになります。
  • 簡単に取り付け:RESOLUTE はシングルトラックのアブソリュート光学式エンコーダとして、他社の従来型マルチトラックエンコーダよりも大幅に高い取り付け公差を備えています。更に、RESOLUTE に統合されたセットアップ LED を使用して、試験フレームの製造と整備時の取り付け作業を簡素化することができます。

ElectroPuls の限界を追求

LVDT テクノロジーの限界を認識していた Instron では、そのニーズを満たせる優れたエンコーダソリューションを求めていました。Instron にとって、BiSS プロトコル搭載の RESOLUTE は、革新的な ElectroPuls シリーズの今後の展開をサポートできる、高度な能力を備えたソリューションです。縫合線の引っ張り強さの評価から骨折固定具の耐久性試験までに対応できる ElectroPuls システムは、非常に汎用性の高い試験プラットフォームです。レニショーでは Instron と相互に有益な関係を築いており、密接に連係しながら製品の技術革新と開発を進めています。

E3000 リニアトーションシステムの詳細については、Instron のメインウェブサイトをご覧ください。

Instron の E3000 リニアトーション試験装置で試験中のポリエチレンサンプル