ナビゲーションのスキップ

Equator™ ゲージングシステム、空圧機器の品質確保に貢献

厳格な公差を守りつつ、量産体制も維持、拡大する必要がある。そんな悩みからたどり着いたのが、従来的な手動検査や手計測からの脱却である。AirTAC 社の品質目標の達成と生産性の向上に、レニショーの Equator ゲージングシステムが大きく貢献した。

背景

空圧機器の世界的大手メーカーである AirTAC 社。シリンダやバルブ、FRL システムなど幅広い製品を展開しており、同社製品はエレクトロニクス、自動車、包装、建築といった多様な業界の OEM やシステムインテグレータに使用されている。

1988 年に台湾で創業した AirTAC 社は現在、台湾に 1 箇所 (台南)、中国に 2 箇所 (広東、寧波)、計 3 箇所に巨大な製造拠点を擁している。例えば寧波の拠点だけでも 400,000m2 を超える敷地内に 39 の製造設備を有し、1,000 台を超える工作機械や装置から、3,000 を超えるコンポーネントを生産している。

AirTAC 社の寧波の製造拠点 (中国)

AirTAC 社の寧波の製造拠点 (中国)

課題

生産規模が拡大するにつれ、パーツの検査プロセスに技術面でも商業面でも課題が増えていった。その背景として挙げられるのが、製造パーツの多様化、生産量の増加、工作機械運転の拡大である。

従来、同社ではキャリパゲージやデプスゲージを使って手計測を行っていた。これらの機器は、人の手に頼る部分が大きく、作業時間もかかるため、コストの増大も相まって大きな負担となりつつあった。

Wang 氏 (AirTAC 社の Quality Control Department の Manager) は以下のように説明する。「製品の高い品質を確保する必要がありました。キャリパゲージやマイクロメータといった昔ながらのツールだけを使っていては、大量の製品を測定しても、測定の一貫性を高いレベルで保つのはとてつもなく難しい」

「それに当然、手検査や手計測にはニューマンエラーのリスクもあります。製品品質や生産性という点でもマイナスです」

取引先企業が増え、そして世界各地に広まるにつれ、要求される公差も一層厳しいものになった。特に、リチウムバッテリの製造やスマートフォンのアセンブリといった成長著しい先端分野では、2µm という厳しい公差が要求されることもある。手検査ではこの精度レベルを担保できない。

以上のような背景から、空圧機器の高品質と量産の両立、さらにはデータ集積による生産のトレーサビリティの向上を目指し、検査プロセスの自動化に踏み切った。

AirTAC 社の自動生産ライン

AirTAC 社の自動生産ライン

解決策

AirTAC 社が採用を決めたのがレニショーの Equator™ ゲージングシステムである。中量~大量生産に最適な高速比較測定システムで、寧波の拠点での検査/計測プロセスに導入され、自動化を実現した。

Equator は直交軸構造ではなく、高い剛性を誇る「パラレルキネマティック」と呼ばれる構造が特徴である。高速動作での高い繰り返し精度が実現している。

Equator はレニショーのスキャニングプローブを介して毎秒 1,000 点のデータを収集可能である。そして取得した大量のデータからは、コンポーネントの 3 次元測定と解析が可能だ。

寧波の拠点で導入された Equator は 20 台を超える。Equator 300 と Equator 500 だけでなく、より広い作業領域を備えた Equator 500 Extended Height (直径 500mm、高さ 400mm) が採用されており、3 軸シリンダなどの大型コンポーネントの検査/測定にも対応した体制を構築している。

Equator は、その作業領域に対して本体は比較的小型で省スペース性に優れるため、現場の配置を大きく変えなくても導入が可能である。寧波の現場でも工作機械の隣に容易に設置できた。

レニショーでは、加工プロセスを常時モニタリングし、Equator から取得した測定データをもとに工作機械のオフセットを自動更新するためのソフトウェアとして IPC ソフトウェアを展開しているが、このソフトウェアも AirTAC 社で導入され、活用されている。

AirTAC 社での Equator を使った測定プロセスの初回立上げに際しては、レニショーと現地企業が協力し、計 3 社にて工作機械との接続、Equator のプログラミング、オンライン上の専用ワークシートへの測定データエクスポートといった作業を完遂した。

結果

Equator を導入し、検査を自動化したことで、AirTAC 社の製造品質と生産性が向上した。

Equator のスキャニング速度は 200mm/s を超える。パーツ 1 個の測定完了に平均で 2 分しかかからず、手計測と比較して所要時間が 3 分の 1 になった。測定作業がシンプルになり、標準化され、さらに精度も良化した。

Equator からのフィードバックと IPC ソフトウェアの活用により、公差内のパーツ製造が可能になった。

また、プロセスのドリフトを自動的に補正できるようになり、製造品質の向上、スクラップの削減、工具寿命管理の効率化といったメリットがもたらされた。

Wang 氏は寧波での Equator の温度安定性の重要さを指摘している。暖房空調設備を使っていても、10℃~20℃の間で温度が変化する。夏にいたっては 38℃に達することもあるし、冬には -5℃になることもある。だが Equator はこういった温度変化の影響を受けず、1.5µm~1.6µm という高い繰り返し精度を保つことができる。

空圧機器のコンポーネント

空圧機器のコンポーネント

Equator の大きなメリットのひとつが正確な測定データを取得できることです。自動化が実現し、オペレータが手動でデータを記録しなければならない、といったプレッシャーから解放されました。またデータが Equator 内に自動で保存され、工作機械に自動で転送されるため、トレンドを解析し、どのパーツの製造プロセスを調整しなければならないかを把握できるようになりました。

AirTAC 社 (中国)

ダウンロード