宇宙線除去機能
宇宙線とラマン
長時間にわたってラマン測定を実施すると、サンプルに関係のないシャープなスパイクがスペクトルに現れることがあります。このようなスパイクは、宇宙線が検出器に当たり、スプリアス形状が形成されることにより発生するもので、一般的にラマンバンドより狭いものです。WiRE™ ソフトウェアの宇宙線除去機能 (CRR) を使用すると、スペクトルからこれらの形状を迅速かつ簡単に除去できます。
宇宙線の起源
一次宇宙線とは宇宙空間からやってくる高エネルギー粒子です。これらが大気圏にぶつかると、粒子のシャワー (二次宇宙線) を発生させます。これらのランダムで避けようのない事象により、ラマンスペクトルにスプリアススパイクが発生します。
宇宙線の回避
inVia の設計は無収差で、スペクトルは検出器上に集光された狭帯域で形成されます。これにより S/N 比を向上できるだけでなく、inVia で宇宙線の影響を受けにくくなります。
スペクトルデータから宇宙線の形状を除去する利点
- データ処理と分析が簡単になります
- データの解釈が簡単になります
- スペクトルバンドの形状を維持できます
- 主成分分析 (PCA) などのケモメトリクス分析手法を使用してデータを分析する場合、確実にサンプルに関連するデータ (ラマン/フォトルミネセンス分光) のみを分析できるようになります。
- イメージは人工的でないため、より象徴的で見栄えの良いものになります。
データ収集中の宇宙線の除去
WiRE のメディアンフィルタオプションを使用することで、宇宙線を除去できます。これは、必要な各スペクトルを追加で 2 回取得します。その後、WiRE が各ラマン周波数に対して 3 点の値の中間値を取ります。宇宙線形状は、中間値ではなく常に極端な値であるため、これによりすべての形状やサイズの宇宙線が自動的に除去されます。さらにこの手段により、ノイズも低減されます。
一見、この手段はデータ収集に 3 倍の時間がかかると思われるかもしれません。しかし、取得時間を短縮して積算回数を増加する場合、実験にかかる合計時間の増加は比較的小さいです。
データ収集後の宇宙線の除去
少数の明らかな宇宙線形状は、シンプルなザップ機能により除去できます。これにより宇宙線の領域が一本の線で置き換えられます。データファイル内に多くのスペクトルが含まれる場合は、この方法は実行不可能なほど時間がかかることになります。
多くの宇宙線形状を含むファイルを高速処理するには、レニショーの宇宙線除去機能 (CRR) 処理ツールにより、適切な手段を組み合わせて使用できます。この機能は全自動、またはオペレータのガイドによる方法のいずれかで適用されます。
レニショーの革新技術の多くは、特許により保護されています。