細胞生物学
ラマン分光はラベルフリーの非侵襲的な分析技術です。遺伝子を操作したり、染料や抗体を使用したりしなくても、細胞から化学情報を抽出できます。これにより、細胞の真の化学的性質を反映する結果を取得できます。
細胞の同定
レニショーのラマンシステムを使用すると次のような同定と判別を行うことができます。
- 通常の細胞とがん細胞
- 幹細胞と分化細胞
- 細胞群における各種準安定状態 (幹細胞や前駆細胞など)
マーカがわからなくても、細胞固有の化学プロファイルに基づいて同定できます。そのため、抗体と結合させたり、遺伝子を操作したりする必要がありません。
優れた生物学的詳細情報を取得
高空間分解能のコンフォーカルラマン分析を使用して、次のようなものを調べることができます。
- 個々の細胞の胞内構造と生体分子 in situ 測定
- 酵母細胞内の封入体の化学物質含有量
- がん細胞の脂質含有量 (脂質の代謝をより良く理解するため)
細胞群の個々の細胞を調べて、細胞間の変異性を判別。例えば、健康な細胞と異常な細胞の脂質と DNA の分布を分析できます。
生細胞の研究
レニショーラマンシステムには、セルインキュベータを搭載できます。インキュベータは、分析中に内部の温度、二酸化炭素濃度、湿度を制御して、細胞を通常の生理的状態に維持できます。
生細胞のデータにより、エンドポイント実験よりもより動的なプロセスを確認できます。例えば、環境変化や薬品に対する細胞の反応をモニタできます。これらの反応は、代謝性変化や形態的変化、または細胞死 (アポトーシス) としてはっきりと現れることがあり、レニショーのラマン分光装置によりこれらのすべてを検出できます。
細胞内の変化を三次元で解明
サンプルの化学情報を収集して三次元画像を生成し、この画像から細胞による物質の摂取を実証できます。さらに、細胞と細胞器官の体積を判定できます。
その他の参考文献:
Lau et al (2014) Biomedical Spectroscopy and Imaging 3: 237-247
McAughtrie et al (2013) Chem Sci 4: 3566-72
Kim et al (2010) Anal Bioanal Chem 398: 3051-3061
ダウンロード: ライフサイエンス (細胞)
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Application note: Classification of brain glioma tumours using the Renishaw Biological Analyser [en]
Demonstrating discrimination between diseased and healthy brain tissue using the Renishaw RA816 Biological Analyser.
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アプリケーションノート: inVia™ コンフォーカルラマンマイクロスコープによる細胞イメージの取得
ラマンイメージにより、細胞の生化学的組成を変容させることなく、細胞種を判別して細胞下構造を解明することができるようになりました。このラベルフリーの非接触、非破壊分析技術は、サンプルの準備がほとんど必要ないため、生細胞の分析とイメージングに理想的です。
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アプリケーションノート: inVia™ コンフォーカルラマンマイクロスコープによる表面増強ラマンスペクトル(SERS)イメージの取得
ラマンイメージは、各種化学種の分子組成、構造、分布の理解に役立つ強力な研究ツールです。SERS では、ナノシルバー/ゴールドコロイドや粗面化金属基板を使用して、吸収される分子のラマン散乱強度を増幅できます。これにより分析感度や特異性を向上することができます。
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Application note: Raman imaging to reveal components and metabolites in wood cells and tissue [en]
Analysing Scots pine wood using the inVia™ confocal Raman microscope, to reveal high-resolution details of structure and chemical composition.
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Portrait of a dying cell [en]
The December 2015 issue of 'The Pathologist' featured an article describing how Raman spectroscopy is a non-invasive way of obtaining morphological and chemical information about cells that may lead to better cancer research.
細胞生物学の最新ニュース
inVia を応用した輸血用血液袋の保管血液の測定
カナダ、バンクーバーのブリティッシュコロンビア大学の Michael Smith Laboratories は、保管状態の赤血球 (RBC) ユニット 1、2 の生物化学的な変化とドナー間変動をモニタするための手段として、ラマン分光法を応用するための道を切り開いています。Michael Blades 教授と Robin Turner 教授の研究グループは、最近『Analyst』にこの研究に関する論文を発表しました。
癌治療における細胞と組織の放射線損傷の検出へのラマン分光法の応用
カナダ、University of British Columbia の Irving K Barber School of Arts and Sciences では、物理学、工学、放射線腫瘍学などの多くの専門分野の科学者で構成されるグループが、癌治療で使用されるイオン化放射線によって引き起こされる細胞と組織の損傷を検出して理解する研究を行っています。